
2009年3月21日

ご報告が遅れましたが、先日「Web担当者Forum × CSS Nite「実践ワークショップ」 」 が開催されました。ご参加された皆様お疲れ様でした。また、主催のみなさま、すばらしいイベントをありがとうございました。
私はというと「コーディネータ」などという、こそばゆい肩書きをいただき、実際には会場をうろうろする程度の役目に徹しておりました(笑
詳しいレポートは、ご参加者のレポートなどをどうぞ。
さて、私も偉そうなことを言うだけで終わってしまうのは申し訳がないため、ここでは私なりのチェックシートを作ってみようかなと思います。まずは、その考え方。
ヒヤリングの段階で、仕様や要件の策定までをクライアントに丸投げしてしまうのは間違いだと言えます。どんなユーザー層か、どのくらいのPV数を目指すか、なにをWebのゴールとするか。そのような内容は、「一緒に考える」べき事であって「聞く」事ではありません。
クライアントに聞くことは、クライアントにしか分からないこと。調べても、考えても分からないことを聞くようにします。
答えが明らかに予想できたり調べたりできる、当たり前のことは聞きません。
競合はどこか、どんな業界なのか。どんな顧客に対する商売なのか。このような事は、あらかじめ調べておけば分かります。確認の意味で「こうですよね?」と聞くのはよいでしょうが、1から説明を求めるのはクライアントにとって負担になってしまいます。
それでは、これをふまえてチェックシートを作ってみましょう。ヒヤリング項目を5つあげてみました。
と、いきなり「当たり前のこと」を聞いている気がします。。しかし、先ほどの通り、あらかじめ調べられることは調べておきます。ここでは、当の本人しか分からないような、「常識外」のことを聞き出すためです。
たとえば、「街のたばこ屋さん」からホームページ制作の依頼が来たらどうでしょう? 街を歩くと、ぽつぽつたばこ屋さんがありますが、お客さんがいるところをあまり見たことがなく、流行っているように思えません。では、まずは知ってもらうために地図を作る必要があるでしょうか? たばこの銘柄をデータベースにして一覧にしましょうか? ブログを書きますか? 正直全部無駄かもしれません。
実は、たばこ屋さんのメインのビジネスは「自動販売機」なのだそうです。居酒屋やパチンコ屋さんなどにおいてある自動販売機。あれは、たばこ屋さんの専売特許。自動販売機の商品を入れ替えるだけで、年間数千万といった売り上げを上げているところもあるそうで、正直街角のたばこ屋さんというのはメインのビジネスではないのです。
「さおだけ屋はなぜ潰れないのか」というベストセラーがありますが、外から見ているだけでは分からないようなビジネスの仕組みや常識が、各業界にはあるのです。それを知らなければ、効果的なWebサイトを作ることができません。
先のたばこ屋さんであれば、一般の方向けのコンテンツなどいくら作っても無意味で、飲食店の経営者向けに自動販売機の設置を提案するコンテンツが必要なのかもしれません。こうして真のビジネスに役立つコンテンツを導き出します。
「ライバル」を日本語で言うと「競合」になるかもしれませんが、ここでは少し意味合いが違います。競合は、あくまでも同じ業界の他社ですが、ライバルはクライアントさんが「意識」している存在です。同じ業界とは言っても、その会社のカラーや顧客層、目指すところなどによって変わってきます。
同じ商品でも、価格を他店より1円でも安くして売りたい場合と、定価で売ってサポートなどの付加価値で勝負していきたいお店では、Webサイトのデザインもコンテンツも、作り方も全く変わってくるわけです。
たとえば、現在は技術力に定評のある下請け業者だとして、技術をさらにアピールして発注が来るようにしたいと誰もが思うでしょうか? もしかしたら、「オリジナルの商品を発売して、下請けを脱却したい」と思っているかもしれませんし、「(仕事は十分あるので)会社の名前を知ってもらい、より優秀な技術者を集めたい」と思っているかもしれません。
また、お店をやっているからと言って、誰もが全国展開を目指しているわけではありません。あくまでも、手作りにこだわり、良さを分かってくれる人にだけ、一つ一つ手間をかけて届けたいと思っているのかもしれません。そしたら、過度なSEO対策よりも、リピーターに向けた商品をより深く知ってもらえるようなコンテンツが必要なのかもしれないのです。
受注者側が一番知りたいのは、この「予算」でしょう。しかし、「いくら予算がありますか?」と聞いてしまっては「あんまりない」「できるだけ安い方がよい」というクライアントがほとんどでしょう。
実は、予算というのはそれほど重要ではありません。もちろん、年間の売り上げが 1000万円の会社が、2000万円をかけてサイトを作ることはできません。しかし、20万円をかけて効果が上がらないのと、100万円をかけて 200万円儲かるのであればどちらが良いかと言われれば、言わずもがななわけです。
つまり、いくらをかけてどのくらいの効果を見込むのかは、あらかじめ決まっているのではなくて「考える」ものなのです。
また、予算
を聞くときは同時に「かけられる時間」を聞きます。イベントの際、Web担当者Forumの安田様がこんなお話をされていました。「時間、質、お金は三角形の関係にある。お金をかければ、質が高くて時間を節約できるが、お金がかけられなければ質か時間を犠牲にするしかない」とのこと。すばらしい例えだと思います。
クライアントに全く時間がないのであれば、その分お金を出してもらえれば、受注者側が人員を確保したり、作業を割いていくことができますし、逆に予算がなければクライアント自身にさまざまなことに時間をかけてもらえれば、同じように良いサイトが作れるわけです。
時間とお金のどちらを取るか、そしていくらをかけるのかを、一緒に考えていきましょう。
最後はヒヤリングのようで、ヒヤリングではありません。クライアントに質問を投げかけます。
クライアントは大抵の場合、非常に不安です。私たちのように業界にどっぷりつかってしまうと「ホームページを作る」ということが、いかに不安なことであるかが麻痺してしまいますが、少なくても数十万円といった買い物になるホームページは、決して安いものではありません。
クライアントによっては、いったい何から手をつけたらよいのか分からないかもしれません。あまり詳しいことは分からないので、全部お任せにしたいというクライアントもいるでしょうし、逆に自分で育ててみたいとか興味があるから、いろいろ教えて欲しいという方もいるでしょう。過去に別の業者でトラブルにあったかもしれませんし、自分で作って失敗したかもしれません。
そんなときに、クライアントの不安を取り除くにはどんなことができるのか、どんな風にお役に立てるのかを探ります。すべてのリクエストに応えることはできないかもしれません。しかし、そこは無理をせずにきちんと説明をしてお断りすれば、クライアントもまずは不安が取り除けるでしょう。「分からない」というのが、人は一番不安なのです。
今回のイベントのテーマは、「受注者と発注者の溝を埋める」というものでした。私は、この答えは「コミュニケーション」だと思っています。どんなにお互いが知識を高めようと努力をしても、業界が違えばどうしても知識の差は出てしまいます。
ヒヤリングは、「尋問」ではありません。質問責めにしてチェックシートを埋めて満足したあげく、あとになってクライアントの気が変わったからと「最初の時に確認しましたよね?」などと詰め寄っては、誰も幸せになれません。クライアントのトークを広げ、さまざまなことを教えてもらい、またこちらが分かることを教えてあげて、不安を取り除いてあげる。これが「ヒヤリング」であり、「溝」を埋める第一歩ではないかと思いました。
さて、このイベントは第2回も予定されているそうです。非常に楽しみなイベントの一つになりました。是非、長く続いて多くの方々にご参加いただきたいですね。次回を楽しみにしております。
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