徹底したターゲットの絞り込み&訴求で、ネット予約なし&広告なしなのに「予約の途切れない店」

成功している美容室の運営ノウハウをインタビューするシリーズ第二弾。
今回は岡山北区の「予約が途切れないサロン」、「KARUTA hair」にお話をお伺いしました。

このサロンのスゴイところまとめ
  • ネット予約を利用していない
  • オープンの時のチラシ配布以降、広告を出していない
  • それでいて予約が途切れない!
スゴイところ1:ネット予約を利用していない

一般的には、美容室運営において「ネット予約」のシステムを導入し効率化を図っているサロンが多数派だと思います。
人気店であればなおさら、効率化のためにも導入していそうなものですが、このサロンでは、「予約管理システム」は利用していても、お客さまが使う「ネット予約」のシステムを導入していません。その理由を伺いました。

うちのお客さまは新規のお客さまが1割-2割で、残りはリピートで来てくださるお客さまなんです。
つまり、ほとんどのお客さまの髪質をわかっているんです。

予約システムだと「カット・カラー=2時間」など、その店ごとの「各メニューにかかる時間」のベースを設定していきますが、お客さまの髪質によっては2時間もかからない場合もあるし、もっとかかる場合もある。
そのあたりの調整が、電話や対面で口頭のほうがお客さまに応じて15分単位でカスタマイズしてご予約をうまく埋めていけるんです。
まあ、それは予約を担当してくれている担当者がすごく機転が利いて計算できる才能があるからできることからかもしれませんが(笑)

あとは、美容室ポータル系の無料版のサービスにもネット予約がついていますが、予約の状態が誰にでも見えてしまいますよね。
たまたま空いているのを見て「暇なの?」と思ってしまわれそうで、なるべく見られたくないですね。(苦笑)

このサロンのケースはほとんど職人技と言える記憶力のなせる業かもしれませんが、確かにアイドリングの時間が極限まで少なくできそうな技です。

ちなみに「ネット予約」は利用していませんが、「予約管理」は専用のシステムを導入しているそうです。
予約やレジの管理、パーマの種類などのお客さまのカルテとかもそのシステムで管理・分析もしているんだそうです。
お客さまのカルテは万が一のシステムダウンに備えて手描きでも残しており、毎日一日分持って、朝礼で使うんだそう。
ネット予約はしないものの、お客さまの情報管理・分析はシステムで、バックアップはパソコンと紙の両方でされているとのことでした。万全ですね…!

スゴイところ2:オープンの時のチラシ配布以降、広告を出していない

こちらのサロンは、オープン前に事業計画をすごく練ったんだそう。
お客さまのイメージとして設定したのは40~50代の女性で、外観・内装、タペストリーやチラシもその方々に受け入れていただけそうなものになるよう、練りに練ったそうです。

例えば…
・店名は「和風で言いやすい、親しみやすいもの」に
・立地はそのくらいのお客さまの人通りがあるところに。
・内装も「和テイスト」を取り入れ(お客さまと一緒にKARUTAで髪(紙)遊びをしていきたい、というような願いを込めたそう)
・このくらいの女性は「自分の頭皮や髪」や「環境」に配慮される方が多い → 「薬剤は頭皮に優しいもの/環境に配慮したものを扱っています」という表現に
・チラシでもスタッフの写真は大きく載せて、安心感を与えるように工夫

等々。
市役所で人口統計等のデータをもらってきて、それを参考に出店の地域を設定、扱う商品や店の雰囲気づくりをされたということです。

オープン時に上記を意識したチラシを2000枚用意したそうですが、その効果はどうだったんでしょうか。

“チラシは業界平均で0.05%くらいと言われているご来店率が僕らのケースでは5%くらいのお客さまにご来店いただけました。タペストリーを見て「頭皮に優しいの?」といって新規できてくださる方もいます。

既存のお客さまをカッコよくカットすれば、また来ていただけますし、さらにほかのお客さまにもおススメしていただくことにもつながります。

スゴイところ3:それでいて予約が途切れない

広告施策をしないのは、前回ご紹介した「代官山cheri」と同じだったのですが、こちらのサロンも予約が途切れないんだそう。
KARUTA hairが工夫している点は次のような点でした。

繰り返し来てくださるお客さまには感謝の気持ちを込めて、年間〇回以上来てくださったら〇%オフ、というサービスをしています。

接客やサービスで、お客さまが「大事にしてもらっている」と感じていただくのがとても重要だと思います。

あとは、次回予約を来店いただいたときにしていただくと、少しお得にしています。
そうすることで約3割のお客さまが次回予約をしてくれていますので、予約が埋まりやすいんです。
そして予約が埋まりやすいから、さらにご来店の時に次回予約をしてくださるようになり、正のスパイラル効果がありますね。

そんな人気店のKARUTA hairですが、聞いてみると公式サイトを持っていらっしゃらないとのこと。(2016年6月時点)

その背景と、「公式サイトを持たなければならない時」についてお伺いしました。

次回:「地元密着型」&「顧客層がサイトを使わない」サロンでも公式サイトを持ちたくなる時とは?

この記事を書いた人

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MARCHITECT

大阪出身。大学卒業後上京し、一部上場の教育系の出版社でコミュニティ運営、サイト企画、編集、Webプロモーションなどに約15年従事。
退職後、フリーランスとしてNPOや社会的企業を中心に、事業計画・運用改善・ディレクション・プロモーション・編集・ライティングなどでサポートしています。