Facebookの企業アカウントで発信した内容に、ネガティブなコメントがついた時の対応

無料で手軽に始められ、顧客との距離を縮めたりすることのできるSNSではありますが、思いもよらぬことが炎上の種になったり、ブランド価値を損なってしまったりすることもあります。

Facebookの企業アカウントを持つなら「対応基準」を持とう

Facebookの発信に対して、ネガティブな意見をもらった場合、どのように対応するのが良いのでしょうか。
運営者が望まない意見だからと言って無視したり削除したりすると、それをきっかけに炎上することもあります。

担当者がひとりで運用する際も、複数人で運用する際も、「このようなケースはこう対応する」という対応基準を作っておき、事例に応じて判例集のように事例を追加していくと、その団体・企業にしか持ちえない貴重な資産となります。
Facebookに限らず、その他のSNSやコミュニティなど、顧客接点が多いサービスを運用するときは、徐々にでも整備していくことをお勧めします。

イチから自分たちで作るのは大変なので、2つの方法をご提案します。

1.予算がない場合:先輩サイトの利用規約を事例研究する

先人の経験・知恵を参考にする方法です。
利用者層が自分たちの企業・団体と近く、歴史の長いコミュニティサイト等で培ってきたノウハウが、「利用規約」に凝縮されています。
いくつかのコミュニティサイトの利用規約の内容を比較検討し、自社・自団体ではどの要素を持っているべきなのかを検討します。
そのうえで、どの項目ではどういった表現はOK、どのようなことはアウトなのかを検討していき、自社の対応基準を定めていきましょう。
(その際、他団体の利用規約をそのままコピーしないようにご注意ください)

たとえば「第三者または当社への誹謗中傷行為」は認めない、という規約の項目があったとして、その対応基準を考えるシーンではどうなるでしょうか。
サンプルとして「日本死ね」という表現があったとして、これをどう捉えるかは、それぞれのアカウントの運営方針で決めることです。
「日本死ね」は、対象は「人」ではありませんので、特定の人への誹謗中傷にはならないのでOK(ただし「日本人死ね」は特定の民族を誹謗中傷する表現なのでNG)という考え方もありますし、「死ね」という表現が「読んだ人を不快にさせる表現」としてNGという考え方もあります。
(ただ、「死ね」という文章と「『死ね』と言われた」という文章では、本人の言いたかったことは異なるでしょうから、言葉狩りではなく、文脈に応じて判断する必要があります)

このように、起こり得る表現や、これまでの事例から「これはOK、これはNG」という判断を、裁判の判例集のように編纂していく作業となります。
手間はかかりますが、ゆくゆく貴重な資産となるでしょう。

2.予算がある場合:ネット監視サービスに相談する

世の中には、誹謗中傷や各種権利侵害等がなされていないか、監視するサービスを提供する会社もあります。「ネット 誹謗中傷 監視」などで検索するといくつかの会社が出てきます。
それらの会社に「監視&対応」の見積もり依頼をしてみましょう。
どんな対応基準にするか、ということを、豊富なチェック経験から提案してくれると思います。
筆者もそのうちのひとつである「イー・ガーディアン」という会社に監視・対応を依頼していたことがありますが、大量の投稿をシステムと目視で確認して、スムーズに対応されていました。

「監視&対応」をするほどの予算がないという場合は、対応基準を一緒に作ってもらうことを依頼できないか相談する手もあるかもしれません。

さらに予算がある場合は、ネットトラブル事例を担当したことのある弁護士事務所に相談するのも手です。
「インターネット トラブル 弁護士」などで検索してもよいですし、きちんと運営しているサイトがある場合は、担当弁護士事務所がどこか聞いてみてもいいかもしれません。

Facebookの企業アカウントでは「削除」ではなく「非表示」という機能もある

コメントを削除することは、投稿者本人を大きく刺激してしまうきっかけとなりうるため、極力削除はしないようにしたいところです。大量のスパムコメントや、誰がどう見ても法律に触れるような内容の場合に行使するにとどめましょう。
なお、「削除」までしなくてもFacebookには「非表示」という機能があります。

こちらは、投稿した本人とその友人には非表示にされたことがわからないのですが、他のユーザーからは該当の投稿が見られない状態となります。
削除するほどではないけれど、他のユーザーには見せたくない…という微妙なラインのものは、非表示機能を使うという手もあるかもしれません。

ただし、非表示にしたことが相手にどうにかしてわかってしまったときのために、どういうものを非表示にするか、という基準はやはり持っておくとよいでしょう。

Facebookの投稿以外にも、意見を集めるツールを持っておく

なお、お問い合わせや意見を伝えるツールが見当たらないがためにFacebookやその他SNSでクレームを言うしかない、というケースもあります。
ご意見、お問い合わせはこちらから…と公式サイト上等で明示しておくこともリスクヘッジとなります。
(もちろん、いただいたご意見には誠意をもって対応しましょう。その際も対応基準に準じるとベストです)