SEO(検索エンジン最適化)対策に、どんな方法が適しているかというのは永遠の課題ですね。その時々で有効な方法が変わっていきますし、やり過ぎるとペナルティーになってしまうなど、「正解」のない世界と言えます。
さて、今回頂いた質問について、まずは内容を簡単に紹介しましょう。
robots.txt
robots.txtとは、Webサーバーのトップページと同じフォルダーに設置できるテキストファイルです。次のような内容を記述します。
User-Agent:* Disallow: Sitemap:http://example.com/sitemap.xml
これにより、次のようなことが指定できています。
- すべての環境(User-Agent)が対象
- アクセスできないエリア(Disallow)はない
- XMLサイトマップファイルは「example.com/sitemap.xml」にある
といったことが指定されています。他にもいくつかの要素が設定できます。
メールアドレスのエンティティ
「エンティティ(Entity)」とは「実体」といった意味のある英語で、HTMLでは文字を「エンティティコード」と呼ばれる特殊なコードに置き換えることを言います。たとえば、「a」という文字は「a」というコードになります。エンティティコードにした場合でも、Webブラウザーに表示した場合は「a」という文字に戻って表示することができます。
もともとは、キーボードで打ち込みにくい文字だったり、外国語などで打ち込めないユーザーがエンティティコードを使って表現するために使われていますが、これをメールアドレスに適用するケースがあります。Webページ内のお問い合わせなどでメールアドレスを次のようにそのまま記述するのではなく、エンティティコードで記述するのです。
support@h2o-space.com
↓
support@h・・・
なぜこんな事をするのかというと、迷惑メールの防止です。迷惑メールを送信する業者等は、世界中の Webページからメールアドレスと思われる文字列を検索し、そのメールアドレスに対してメールを送信するという手法を取っている場合があります。そのため、Webページ上にメールアドレスを記載すると、すぐに迷惑メールが届き始めたりします。これを防止するため、エンティティ化するというわけです。
これらの手法は SEOに効果がある?
それでは、ご質問に対する回答ですが、まず「効果があるか?(SEO的に有利になるか)」という質問には「まず効果はないと考えられる」とお答えする事ができます。もちろん、本当の正解は Googleの技術者の一部などでなければ分からないのですが、これらの手法で SEO的に有利になる要素が見当たりません。
ただし、ご質問が「SEO的に不利になることがあるか?」というご質問でしたら「YES」とお答えすることができます。もしかしたら、ご質問者様も「不利」になるという話を覚えておられて、それを「有利」と勘違いされてしまったのかも知れません。
robots.txtが SEOに悪影響を与えるケース
robots.txtは、主に「検索サイトにヒットさせたくない Webページ」の制御に使われます。会員限定のサイトだったり、管理画面、自分だけの趣味のページにしたいなど、Webページの中には広く知って欲しくないページもあります。このような場合、robots.txtに次のように指定すると検索サイトには(基本的には)ヒットしなくなります。
User-agent: * Disallow: /
しかし、もしこれを通常のWebページに誤って設定してしまうと大変です。どんなキーワードで検索をしても上位表示どころか、ヒットすらしなくなってしまいます。Webサイトを制作している途中で「今は見られたくないから、robots.txtで拒否しておこう」などと設定しておき、うっかりその事を忘れて公開をしてしまったりすると、せっかくコンテンツを更新しても、誰も見に来ていないなんてことがあるかも知れません。忘れないように正しく設定しましょう。
メールアドレスのエンティティ化が悪影響を与えるケース
こちらについては、それほど大きな悪影響はないと考えられます。メールアドレスで検索をした場合などで、うまくヒットしなくなることがあります、それは狙った効果なので問題はないでしょう。考えられることとしては、その前後の文字列がうまく検索エンジンに認識されない等という可能性は考えられますが、それほど考えなくて良さそうに思います。
ただし、逆にエンティティ化が迷惑メールの防止にどれほどの影響があるかについても、疑問です。迷惑メール業者も日々メールアドレスの収集に知恵を働かせています。業務で利用するメールアドレスには、迷惑メールは「来るもの」と割り切って、メールサーバーでの防止処置をとったり、Gmail等のサービスを利用するなど届いてからの対策の方が有効といえます。
無理に、メールアドレスをエンティティ化する必要はないと考えられます。ちゃんと Webページを作成して、正しく検索エンジンに認識されるようにしましょう。