NPO団体のSNSではどんなことを発信していけばいいですか

NPOに入職したとたんに、「SNSのアカウントを渡すので、運用をお願いします」と任されることがあります。どんな内容を発信していけばよいかは、下記を参考に、団体の決裁者と決めていくとよいでしょう。

<SNS運用の目的を確認しよう>

イベント集客・ボランティア募集・寄付獲得…

何を目的にSNSで発信するかを確認しておきましょう。その優先順位は団体にもよりますが、「目的は〇〇と〇〇でいいですか?」と確認すると、「それ以外に▼▼もあります」と出てくるかもしれませんし、「**は目的ではないです」と言われることで、発信しなくてよい投稿というのもわかるかもしれません。
一般的なNPOの場合、SNSを活用する目的は、イベント等の集客、ボランティアの獲得・維持、寄付の獲得、NPOが扱う問題の社会化、団体の認知度UPなどが挙げられると思いますし、事業系のNPOの場合は、既存顧客の継続率UPなども考えられます。

<SNS運用の体制とルールを確認しよう>

事前チェックが必要な場合、誰がいつ確認するのか

小規模な団体の場合、事前のチェックがいらないことが多いですが、念のため事前のチェックが必要か、必要な場合はどのように誰にいつチェックを受けることになるのかを確認しましょう。

アカウント権限を持つ人と、その役割

アカウントを自分だけが持っているのであれば迷いませんが、他にも複数の人がアカウントを持っている場合、投稿が重複することを避けるため、どんな内容を誰がどのタイミングで発信するのか、ルールはあるかを確認しましょう。
特にない場合は、「〇〇のメイン担当はAさん、Aさんお休みの時はBさん」とメイン担当とサブ担当を決めたり、「イベントレポートは、その日受付を担当した人が行う/イベント告知をした人が行う」と決めたり、「月・水・金はCさん、火・木はDさん」のように曜日で割り振ってもよいでしょう。

Webサイトやブログ等に掲載している内容など、SNSに自動連携される内容はあるか

団体Webサイトやブログ等を持っている場合、発信・更新内容がSNSに自動連携される場合もあります。自動連携されるのを知らずに同じことを掲載すると情報がダブってしまうので、SNS連携の有無を確認しましょう。
自動連携されていない場合は、Webサイトやブログの更新のうち、どのようなものをSNSで告知したいのかを確認しつつ、そのような更新がある際に、事前に情報が担当者に集約される体制はあるのか、ないのであれば「記事更新者は更新の*日前にSNS担当に連絡する」などのルールを決めておくとよいでしょう。

発信が効果的な曜日・時間帯はあるか

団体のSNSを見ていただきたい相手により、発信が効果的な曜日・時間帯は異なります。これまでの経験上、何曜日がよい、何時ごろが良い、などの傾向があるのか、確認してみましょう。
関連記事:企業(団体)のFacebookアカウント、 何曜日の何時ごろに投稿するのがよいですか

コメントやダイレクトメッセージが来た場合の対応方法

SNSにコメントやダイレクトメッセージが来た場合、誰が対応するのか(発信した本人か、返信担当か)、自分が対応することになっていても、対応する前に決裁者に確認が必要なケースの基準などを確認、ない場合は「いったん決裁者にすべて相談」等、仮決定しておくとよいでしょう。
関連記事:Facebookの企業アカウントで発信した内容に、ネガティブなコメントをもらってしまいました。どう対応すればよいでしょうか

具体的な発信内容にはどんなものを想定しているか

NPOでよく発信される内容をまとめてみました。下記を団体により、取捨選択・追加するとよいでしょう。

イベント告知

各種説明会やセミナー、シンポジウムといった、イベントの告知をして、集客に役立てます。告知のタイミングは、イベントの告知解禁日と、1カ月前・2週間前・1週間前、3日前・前日・当日など、イベントの集客規模や集客状況、避けるパワーにあわせて何度か行うとよいでしょう。
同じ内容を何度も投稿すると、フォローしてくれている人に迷惑になることもあるので、写真や表現などを工夫しましょう。

イベント実施報告

イベントの集客や当日の運営で力尽きてしまうことは多々ありますが、参加してくださった方へのお礼の意味や、参加できなかった方々のためにも、イベント実施後なるべく早くに、イベントの概要とお礼を伝えるとよいでしょう。
イベントレポートは別途、ブログなどに詳しく書いておくと、検索経由で来訪するユーザーを獲得できる資産になります。
関連記事:セミナーや授業、イベント写真撮影時の注意点とコツ
関連記事:イベントやセミナーの後のレポートをWebサイトで公開することって、そもそも必要ですか?

メディア掲載情報

ラジオ・テレビなどで団体が取り上げられる場合は、SNSで事前告知しましょう。
また、新聞・雑誌・オンラインメディアなどで、団体やサービスが取り上げられた際にも、ぜひなるべく早いタイミングで告知をしましょう。ふだんは「いいね!」をしてくれない人たちも、メディア掲載情報であれば「いいね!」としてくれて拡散されることが多いのと、「メディアに取り上げられるなら、きっときちんとした団体なのだ」と判断をしてくれる人も多いためです。

そして、団体そのものが取り上げられない場合も、団体の扱う社会課題、関連の課題などが取り上げられ、社会認知が進みそうなものはテレビやラジオの場合はあらかじめ放映情報、紙媒体の場合は掲載情報を発信するとよいでしょう。

ニュース解説

NPOの存在意義には、「問題の社会化」も含まれています。関連する社会課題がニュースが報じられた場合、それを補足したり解説したりする内容を発信するのもよいでしょう。可能であれば海外記事の翻訳なども喜ばれます。

各種団体からのお知らせ事項

周知を徹底したいのであればSNSだけでなく団体Webサイトやブログにも掲載されるべきですが、新しいスタッフのジョインや、オフィスの移転・追加、新しい事業の開始は、情報解禁日を確認しつつ、「ポジティブなニュース」をSNSで発信することを心がけましょう。
今日で〇〇を開始して△年です!といった、周年の情報もよいですね。

扱う社会課題に関連する記念日(〇〇の日)がある場合は、それに絡めて、社会課題の解説をしてもよいかもしれません。(例:子ども相手の事業なら「子どもの日」など)

受益者からの声・フィードバック

NPOには受益者がいるものですが、受益者からのお礼のメッセージをいただいたり、ポジティブな効果が判明した場合、(公開の可否を確認したうえで)それをぜひ発信するようにしましょう。

求人・ボランティア獲得に役立ちそうなネタ

職員や、ボランティアを募集している場合には、職員やボランティアが、活動を通して成長したり、楽しい時間を過ごしているといったことを紹介するネタがあってもよいかもしれません。

避けるべき話題があるか確認

入職早々はこういうことをやりがちだけど、こういうことはは発信しないで…という事例がないか確認しましょう。
事業で関連する話題だと思いがちだけど、このテーマのことは扱わないで…等、新参者にはわからない思惑があることもあります。

下記にどの業界であっても汎用的に気をつけたい「メルマガ配信のネタに関する注意」をリンクしますので、SNS運用にも参考にしていただければと思います。
関連記事:メルマガを発行したらクレームを受けてしまいました。注意すべきポイントは?

多くのNPOでは、このような細かいことでいちいちミーティングをする時間もあまりとれないケースがほとんどだと思います。
この記事を読んで、「これはどうなのかな?」と思うことをピンポイントで確認したり、メールコミュニケーションが一般的な組織ではURLを決裁者に送り、「この記事で、当てはまらないもの・追加したいものがあればお知らせください」とメールするというのもありだと思います。

その際、自分はこんなものも発信して、と言われたよ!というものがあればぜひ情報をお知らせください。

この記事を書いた人

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MARCHITECT

大阪出身。大学卒業後上京し、一部上場の教育系の出版社でコミュニティ運営、サイト企画、編集、Webプロモーションなどに約15年従事。
退職後、フリーランスとしてNPOや社会的企業を中心に、事業計画・運用改善・ディレクション・プロモーション・編集・ライティングなどでサポートしています。