Camtasia Studioで動画素材を編集しよう #01

Camtasia Studioで編集の準備

前回、Camtasia Studioを使って実際に録画した状態まで実践しました。その状態と、Camtasia Studioを開いた状態とでは少し異なりますが、これから同じ状態にしていくので、Camtasia Recordで録画を終えた状態のままでも問題ありません。

Camtasia Studioは編集ソフトであるため、Camtasia Studioを使って録画をしていなくても、外部から取り込んだデータを編集するソフトとして使うことができます。

外部からのデータは、たとえばビデオカメラやスマートフォンで撮影したもの、もしくはICレコーダーなどでで録音した音声データなどがあります。これらの素材を一旦PCに読み込ませてフォルダに集めておきます。動画や音声データのほか、画像でも可能です。

PC内に取り込んだデータは、まずは「メディアビン」に集めます。今回は以下の3つの映像素材を編集したいと思います。

  • デスクトップを録画したもの
  • Webカメラで撮影したもの
  • ビデオカメラで撮影したもの

完成品は、以下のようなものを目指しています。

  • デスクトップを録画したもの:後ろに表示
  • Webカメラで撮影したもの(私の顔):右上に表示
  • ビデオカメラで撮影したもの(手元のキーボードを操作している動画):左下に表示

これらを重ね合わせて1つの映像になったものが最終的に目指す完成品です。

※実は今見ていただいている完成品は、Camtasia StudioではなくPremiere Proを使って編集しています。今見ていただいている動画の中にCamtasia Studioではできない表現があるため、私の場合はYouTubeの動画を作るときはPremiere Proを使っています。

Camtasia Studioでも似たような所まではできますし、操作方法やソフトの価格も異なるので、ここではまずはCamtasia Studioに慣れていただければと思います。

さあ、ではやっていきましょう。

素材の取り扱いに関する注意

今、メディアビンに映像素材が集まっている状態です。

ここで気をつけたいのが、メディアビンに素材が集まっている状態は、素材をコピーしたわけではないという点です。そのため、「今Camtasia Studioの方に読み込ませたから、もう元の素材はいらない」と考えて元の素材を捨ててしまうと、Camtasia Studioでも素材を開けなくなってしまいます。

素材ファイルを捨ててしまった状態で、Camtasia Studioの素材を開こうとすると「次のファイルが見つかりません」と言われます。

Camtasia Studioに読み込ませた時には、ただ単に「このファイルを使いますよ」という状態なので、元の素材は捨てないように気をつけください。

タイムラインにデータを移動

次に、画面の下の部分「タイムライン」を見ていきます。ここは素材を編集して映像を作り上げていく場所です。今は右上の所は真っ黒の画面になっていますが、ここには編集をおこなったあとの動画が表示されます。

まずはメディアビンの素材を全てタイムラインに持っていきます。

タイムラインに持ってくると、好きな所に入れることができます。トラック1からトラック2、トラック3、という形で「トラック」がどんどんと広がっていきます。基本的にはトラック1に配置してあげましょう。

データの左端をタイムラインの左の所まで持ってくると、これで0分0秒の所から映像がスタートするようになります。この時にうっかり少しずらしてしまうと、映像開始からしばらくの間、真っ黒の映像になってしまうので気を付けてください。きちんとタイムラインの左に合わせるようにしましょう。

映像編集では音声トラックをチェック

まずは素材をひとつだけ使ってやっていきます。

タイムラインのすぐ上にグレーのバーがあります。このバーをスライドすると先程入れたデータが大きくなったり小さくなったりします。これは映像の長さを表しており、今回は17分5秒の映像がタイムラインに入っていることがわかります。

音声トラックの見方

そしてデータを見ていくと、タイムラインの下の部分に薄い波々がピーッと出ています。これは「音声トラック」といい、この部分には音声が収録されているというのを表しています。

音声データはタイムライン上ではこのように波々になって表示されており、以下のような状態を表しています。

  • 波が高いほど大きな音で音声が入っている
  • 波が低いほど小さな音声で入っている
  • 何もない所は無音の状態

録音ミスを防ぐための方法

たとえばこちらの途中でパツンと波が切れているものに関しては、私が録画時にマイクの音量の調整を間違えて、ものすごく大きな音で入れてしまったことが原因です。あまりに大きな音が入力されると、自動的に大きな音がカットされるのでこのような波形になります。これはマイクの設定を間違えているので、見直さないといけません。

録音時に17分の収録を全部終えてから音声を失敗していることに気づき結構慌てました。ただ私の場合は、もうひとつ別のカメラでも音声を録っているので、そのもうひとつの音声データを活かすことができました。こういった形で複数のカメラで撮影をする時には、必ず全部のカメラで音声も収録するようにしておくことをオススメします

予備にもなりますし、後で音声を編集する時にも役に立ちますので、メインとなるマイクからも録音しながら、ほかの全部のカメラでも音声を録るようにしましょう。

動画データを再生する方法

今回は3つの映像データがありますが、全部いきなり始めるのは大変なので、まずは「顔を出さない、スライドだけの解説動画」を作ってみたいと思います。まずは映像データの編集方法について紹介していきます。

使いたいデータをタイムラインに持っていき、先ほどの通り、データの始まりの頭、左側を合わせます。そして「再生ボタン」を押します。通常はショートカットキーが割りあたっています。Camtasia Studioでは再生ボタンは「スペースバー」です。スペースバーを押すと右上の枠で再生が始まります

私の場合、最初はカメラを準備している映像です。では音声データを見てみましょう。データを拡大していくと波形が現れて、音声が始まったことがわかります。おそらく波形が現れたところから話し始めています。そこに合わせてみます。

この縦線を「シークバー」と言い、このシークバーを波形が始まる箇所に合わせてスペースバー(再生ボタン)を押すと、話し始めているのが確認できます。ということは、データの頭からこの波形が始まるまでの部分は予備の部分です。カメラは回しているけれど撮影は始めていない状態なので編集でカットしていきます。

ポイント:予備の部分をどこまでカットするかですが、話し始めるまでにあまり余白があり過ぎると映像がすごく退屈になり、なかなか始まらないと思わせてしまいます。

逆に話し始めるギリギリの所まで余白を切ってしまうと、悪くはないけれど、YouTubeなどで見てもらった時に、再生した途端にいきなり話が始まると相手をびっくりさせてしまうことがあります。そのため、あまりに余裕がないのも良くないので、話し始める前に1秒未満ぐらいの余裕を持たせて切ってあげましょう。

不要な箇所を削除するカット機能2つ

切り方は、シークバー(再生のバー)を切りたい最初の部分か、切りたい最後の部分辺りに合わせます。そして、左側に緑のハンドル、右側に赤のハンドルがあるので、緑のハンドルをつかんでドラック&ドロップします。そうすると水色の「選択エリア」というものができます。これを切りたい所まで持ってきます。ちなみに、赤い方も微調整ができます。

不要な箇所を削除する方法

選択エリアが定まったら、「切り取り」を押すと切り取ることができます。切り取りをおこなうと自動的にデータが頭に揃い、映像の始まりが0.0秒になります。

この時に覚えておきたいのが、以下の違いです。

  • 「Control+Delete」:タイムラインの左端に移動する
  • 「Delete」のみ:頭がこちらに詰まってこない、タイムラインのその場所に留まる

つまり、Deleteのみを押した場合には、冒頭から映像が始まるまで空白の状態になります。このままだと先ほどお話した通り、空白の部分がただの黒い画面になってしまうので、必ずここは頭を詰めてあげる必要があります。「Control+Delete」を使って「トリム」をしてあげましょう。

「Delete」キーのみを使うとき

この「Delete」キーのみの機能は、複数の映像素材を編集する時に使います。

「Control+Delete」をすると一度に複数の素材を切ってしまうので、たとえばトラック1の映像素材を切った時あと、代わりにトラック2の映像素材で間を埋め込みたい時には、頭を詰めずに「Delete」キーだけで映像の一部を削除する必用があります。

用途が異なるため2つの操作方法を覚える必用があります。 

今回は頭を揃えていきたいので、選択した箇所を「Control+Delete」で消していきましょう。

編集をラクにする!録音時に使えるテクニック3つ

この後の編集は、基本的には撮影した映像を全部見直していきます。音が綺麗に入っているか、映像に乱れが無いかなどをチェックします。

ここでは、編集をラクにするテクニックについてご紹介します。

沈黙を上手につかう

たとえば言い間違いをしてしまい、次の言葉が続かなくなった時や考えている時には、黙っておくことをおすすめします。

黙っていると不安になるので、「えー」や「あのー」と言いたくなりますが、そういった形で言葉をつなぐとデータで見た時に、音声の波がずっと続いてしまいます。そのためどこからどこまでをカットすれば良いかが分からなくなってしまうのです。しかし、黙ると音声の波形が区切れるのでカットすべき場所がわかりやすくなります。

データを見れば分かる通り、波形がない箇所は明らかに黙っているのでカットしていい場所だと分かります。黙るということは映像撮影においては全然問題ありません。黙っていれば後からいくらでも編集ができますが、喋り続けてしまうと編集がしにくくなるので黙っておきましょう。

話が始まるところまで戻る

次に、話し始めの時のように前に余白がある時の言い間違いについて説明します。

前に余白がある場合、話し始めで間違えた時には、再度言い直しても、空白の部分から言い間違えた所までをカットしてあげるだけで編集できます。

ですがもし、話をしている途中で間違えてしまい、言い間違えた直前の所から言い直すと、編集しても言葉がうまくつながらなくなることがあります。話の途中で言い間違えたときには、その話題が始まるくらい前から言い直すようにした方が編集はラクです。

この辺は話の慣れが必要なので、いろいろな話し方を試してみて、考える時は黙る、言い直す時には少し前に戻るといった工夫をして、編集しやすい映像素材を準備することも大切です。

目立つ波形をつくる

もうひとつ、私の言い間違えた時のテクニックをご紹介します。

言い間違えた時に、直後に「ンンッ」と言う方法です。言い間違えた時に「ンンッ」と言ってから、言い間違えた少し前に戻って言い直します。

映像を編集する時、特にかなりの量を編集する時には、言い間違えているのにうっかり聞き流してしまうことがあります。言い間違えと、言い直したものの両方ともが収録された映像ができてしまうことが過去に何度かあったので、それ以降は咳払いをするようにしています。

編集しながら聞いていると結構聞き流してしまうこともありますが、「ンンッ」と言うことによって、すごく耳障りなので印象に残り、切り忘れることがなくなりました。

以前はもっと大きな声で咳払いをしていました。これをタイムラインで音声データとして見ると、咳をした箇所がピョンと跳ねているのがわかります。わざと大きな咳払いや「ゴホッ」という咳をして、音声レベルをグンと上げて「ここが間違えているよ」というのを、後で編集する自分に分かりやすくする工夫をしていました。

そのほかの方法

私もいろいろ間違う中で得てきた経験なので、参考になればぜひ真似していただき、自分なりの方法があればそれでやってみてください。

ほかにも、以下の方法で編集ポイントを発見できるよう工夫されている方もいます。

  • パンっと拍手をする
  • 「アゲイン」と言う

とにかく映像の編集は慣れてくると、耳の中に声が入っているはずなのに実はあまり聞いていないということもあるので、そのような編集漏れを極力なくす工夫が必要です。

どんなスピード感の動画を作りたいか編集方針を決める

こうして一本の動画に仕上げていきますが、最初にスピード感に関する編集方針を考えておきましょう。

波形が無い箇所は黙っている場所ですが、少しの沈黙も全てカットするという方法もあります。そうすると結構早い感じのするスピーディーな映像ができます。スピーディーな映像を作りたい方の場合には、波形がない場所、つまり沈黙を全てカットしましょう。

私はYouTubeの動画を作る時には、結構間を詰めてスピーディーな映像にすることがあります。逆にUdemyという教材を販売する動画の場合は、比較的長時間の動画ということもあり、あまりにスピーディーだと疲れてしまうので、少しゆったり目に切っていく工夫もしています。

どんな講座を作っていきたいかによって、編集方針も変わってきます。

今日はここまでの紹介とさせていただき、次回以降、複数の映像素材を組み合わせる方法などについてご紹介していいきます。