講義動画制作のカメラとマイクを準備しよう

前回はCamtasia Studioの中の機能の一つであるレコーダー(録画機能)を使って、画面の使い方、録画・録音機能についてご紹介しました。今回はその続きとして、映像を撮るためのカメラ、声を録るためのマイクについてご紹介します。

PC内蔵カメラをオススメしない理由

カメラについて、最近はほとんどのノートPCにカメラ機能がついています。画面の上についていることが多く、それを使って手軽に始めることもできます。ですが、できれば最初のうち、もしくは慣れてきたらカメラを別で買うことをオススメしています。その理由をご説明します。

1:解像度が低い

PC内蔵のカメラは、あくまでもウェブ会議用であるため、お互いの顔が認識できればいいレベルのカメラであり解像度がかなり低いものが多いです。

ウェブ会議をするときにあまりに解像度が高くてデータ量が多くなると、通信を邪魔してしまうため、あえてかなり低めの解像度のカメラが搭載されていることも多いです。

2:距離や角度が固定されてしまう

また、PC内蔵のカメラはノートPCのディスプレイに付いているので、距離を近づけたり遠ざけたりすると画面が見えなくなってしまいます。

さらに、ノートPCをテーブルに置いてカメラで映すと、上から見下ろしているような映像になってしまいます。これは視聴者にとってあまり気分のいい画ではないですよね。見下したような感じになってしまうため、視聴者が「下に見られている」といった印象を持ってしまうかもしれません。

対策としてはノートPC内蔵カメラではなく別のカメラを用意して、目線のところにカメラの高さを合わせることで、見下した感じがなくなり伝わりやすくなります。

3:撮影が正面から向きになる

ノートPCの場合、通常は正面に置くため、撮影が真正面からになります。正面から話すのも一つの話し方ではありますが、正面からずっと話続けられると若干威圧感を感じさせ、疲れさせてしまうかもしれません。

私は少し角度をつけて、斜めから撮影をして話をするようにしています。カメラ目線にしたい時には、首を少し動かしてカメラの方を見て喋ります。

たとえばPCの操作をするときや何か説明するときには、あえて目線を外して斜めから撮影して喋ります。視聴者に伝えたいことがあるときにはカメラを見て喋り、「画面を見てくださいね」というときはあえて目線を外すことで、見ている方の目線を誘導してあげることもできます。

ウェブカメラとは?

動画撮影にあたっては、スマホやビデオカメラ、一眼レフで撮る方法もありますが、これらの機材を使うと編集工程が面倒になります。画像と音声を別々に取りこむことになるので、お互いの画面のタイミングを合わせるのが面倒です。

できればウェブカメラを使うのが作業が楽です。

カメラを選ぶ時にはどういう講座を撮りたいかで決めよう

この辺は、どういう講座にしたいかを考えて決めていきましょう。

塾などの講座動画だと黒板やホワイトボードを背中にして、先生が真正面を向いて喋っているものが多いです。PCの操作の解説など画面がかなり動くものは、あえて講師の顔は映さない方法や目線を外す方法も一つのやり方です。

カメラの選び方:取り付け方から選ぶ

次にカメラの選び方についてご紹介します。

カメラの取り付け方1:ディスプレイの縁に固定する

私のウェブカメラは「ロジクール」という会社の製品を使っています。カメラ用の「クランプ」と呼ばれる、三脚のような役割をするバーがあり、PCのディスプレイの縁のところに挟んで固定して使っています。

重たいものだとディスプレイが傷んでしまうのですが、ウェブカメラはものすごく軽いのでディスプレイに取り付けても大丈夫です。

カメラの取り付け方2:卓上三脚やアーム、ぶら下げる

卓上三脚みたいなもので立て掛ける方法もありますが、三脚の脚が意外と幅をとるため邪魔になることもあり、私はディスプレにとりつけています。他にもディスプレイではなくデスクにクランプみたいなもので設置するアームのようなタイプや、天井からぶら下げるタイプなどいろいろなタイプがあります。

カメラの取り付け方3:ディスプレイの上に配置

ウェブカメラは、通常はディスプレイの上に配置するようになっているものが多いのですが、これだと少し位置が高くなり過ぎてしまい、また高さの調整が難しいので、クランプや三脚を一つ持っておくと便利です。

カメラの選び方:私がロジクールを選んだ理由

私が使っているのは、ロジクールの「C920」というタイプです。現在はその後継機種の「920S」というものになっているので、その1つ前のタイプです。

ロジクールのウェブカメラにもいくつか種類があります。またマイクロソフト社やサンワサプライ社などいろいろなところからもウェブカメラが発売されています。

私がロジクールのものを選んだのは、下に三脚を取り付ける穴が付いている点が大きな理由です。ウェブカメラで三脚穴が付いているタイプは珍しく、この三脚穴が付いていると通常のカメラ用の機材が使えるようになります。

たとえばカメラアームや三脚など、そういったものも通常通り使えるようになるので、この三脚穴があるタイプを選ぶと非常に使い勝手がいいです。

PC内蔵マイクをオススメしない理由

次はマイクの選び方についてご紹介します。

マイクも同じく、ノートPCには大体内蔵されていますが、これも収録には非常に適していないので別途マイクを購入することをオススメしています。その理由をご説明します。

1:マイクまでの距離が遠い

理由は、まず単純にマイクまでの距離が遠いこと。またPC内に内蔵されているためどうしてもマイクが中に隠れてしまい、声がマイクに届くまでの間に反響してしまい、こもってしまうからです。

2:キーボードの操作音などが邪魔になる

PCの近くにマイクがあるので、たとえばキーボードを打つ音や、手元で何か音を出した時に、自分の声よりも手元の音の方が大きく入ってしまいます。

これらを考えるとPC内蔵マイクを上手に使うのは非常に難しいです。マイクはできるだけ口元に近いところに置くのが重要だと覚えておいてください。

マイクのタイプ

マイクというとカラオケマイクを想像される方が多いですが、マイクにはいろいろなタイプものがあります。ピンマイクやヘッドセット、カメラに付けるガンマイクといったタイプかあります。

コンデンサマイクとは?

私が使っているのが、コンデンサマイクの設置タイプです。

コンデンサマイクは一番繊細な音が入るもので、歌手などアーティストの方がCDの収録のために使っています。レコーディングブースで天井からぶら下がっているマイクを見たことがあるかと思いますが、こういった時に使われるのがコンデンサマイクです。

コンデンサマイクを使う理由

私が使っているのは、オーディオテクニカの「AT2020」というコンデンサマイクです。これまでにピンマイクやカラオケのマイク、ガンマイク、ヘッドセットなど使ってきましたが、最終的に行き着いたのがこのコンデンサマイクです。理由は一番綺麗に声が入るからです。

音質が非常に良い一方で、繊細なのでノイズが非常に入りやすいというデメリットもあります。ノイズを入れないために、設置して固定させて手で触れないようにしています。手で触るとその音もノイズとして入ってしまうので、固定しておいて顔を近づけて喋る、という形をとっています。

マイクを固定させるデメリット

ただしマイクを固定させた場合には顔をあまり動かせなくなります。遠ざかってしまうと声が遠くなってしまうため基本的にはここに顔を固定しながら喋ることになります。

私の場合、今はコンデンサマイクにマイクアームを付けて収録をしていますが、ちょっと扱いにくいので、扱いやすさを重視するとヘッドセットがおすすめです。

ヘッドセットのメリット

ヘッドセットの良い点としては、マイクと口の距離を一度セットすれば、そこから絶対に動かなくなるという点です

少し顔を動かしたり、途中でちょっと休憩するために一回外したりしても、もう一回装着すれば、だいたいその距離というのは一定になりますのでかなり安定して音を入れることができます。

ヘッドセットのデメリット

ただ、自分が映る撮影スタイルの場合、ヘッドセットが画面の中に映ってしまうとかなり見栄えが悪いです。ゲームの中継のようにヘッドセットがアクセサリーになる場合であればいいですが、講義動画などでヘッドセットを付けている人が喋っているというのはあまり見栄えが良くないです。

対策の1つとしては目立たないヘッドセットを使うという方法です。

目立たないヘッドセットマイク

おすすめは「AKG(アーカーゲー)」というところが出している、耳に掛けて使える、マイク部分だけがあるヘッドセットです。こういったものなら調整しやすくてオススメです。

ただ、ヘッドセットはずっとつけていると耳が痛くなるので、そういう方に私がオススメするのはピンマイクです。

ピンマイクのメリット

ピンマイクも扱いは少し難しいです。私の場合、YouTubeに投稿する用の講義的な動画を撮る際にはピンマイクを使っています。

ピンマイクだとシャツのところにクリップで留めて、ケーブルはシャツの中に入れて下を通して装着します。こうすることで、口との距離をある程度一定に保つことができます。

もちろんピンマイクの場合も、付けた首だけを動かすと音がぶれてしまいますが、講義動画の場合だとそんなに顔を動かすこともないですし、どうしても動きたいときには、できるだけ体ごと動かすようにすることで音は一定で入ります。付けたり外したりもしやすいですし、見栄えもそんなに悪くありません。

どのマイクを使うかは、どういった形で講義を撮るのか、動く量や見栄えを考えて選ぶことをおすすめします。

リップノイズを防ごう

マイクで音を入れるときに注意したいのが、リップノイズです。「ぱぴぷぺぽ」みたいな音を出すときに、息がマイクの中にフッと入ってしまいポコッっという音が入ってしまうことがあります。

これは、マイク本体の前に金網みたいなものをつけることで防ぐことができます。この金網を「ポップガード」と言い、この網を通して声を入れることで「ぱぴぷぺぽ」のときの息が入ってしまうのを防ぐことができます。ポップガードはマイクとセットの純正のものもあれば、後付けできるものもあります。「ポップガード」で検索をすると1000円~2000円ぐらいで売られています。

ほかの対策としては、手持ちマイクのものには「ウィンドスクリーン」というモフモフしたものをつけて防ぐこともできます。外で収録するときに風が吹くとゴォーという音が入ってしまうのですが、ウィンドスクリーンを付けておくと風の音を防いでくれます。

ピンマイクにもウィンドスクリーンが付いているものもありますが、室内で喋るときは不要なため、取り外すことでよりクリアな音を入れることができます。

スマホで撮影する時でもマイクは必用?

最後に、スマホで動画を撮ることもあると思いますが、スマホに内蔵されているマイクは音が入りにくいところがあるのでスマホ専用のマイクを使うことをおすすめします。

最近のスマホはiPhoneを筆頭にマイク端子がない機種も結構多く、そういった場合は変換アダプタを利用します。マイクの端子とUSB-CやiPhone向けのライトニングの変換アダプタがあるので一つ持っておくと、外出時に撮影したいと思ったときにすぐに対応できます。

まとめ

今回はマイクとカメラの話をしてきましたが、ウェブカメラも1万円弱で購入でき、マイクに関して言えば、高いものだと数十万円するケースもありますが、私が使っているコンデンサマイクだと2万円しないくらいです。ピンマイクも確か数千円ぐらいで買ったものです。

あわせても3万円弱なので、そのくらいの金額で、いい音、いい画面になるのであれば、最初の投資としてはそんなに悪い投資ではないかなと思います。ぜひこの機会に買って試してみてください。