会社員や会社経営者を経てNPOを設立することは稀かもしれませんが、会社員がプロボノなどでWebサイトを制作する、一般企業のクライアントが多いWeb制作会社がNPOをクライアントにするときなど、一般企業のWebサイトとNPOのWebサイトの違いをおさえておくとよいでしょう。

一般的に、NPOのほうがステークホルダーが多く複雑

企業Webサイトは多くの場合、伝える相手は顧客(潜在顧客、取引先含む)でしょう。
株式会社の場合は株主を意識する必要があることもあります。

NPOの場合、どのような活動をしているかにもよりますがざっというと

  • 受益者(当事者ということも)
  • 受益者を支える団体
  • 行政
  • スタッフ・ボランティア(になってほしい人含む)
  • 寄付者、支援者
  • 助成をしてくれる機関・団体

など、Webサイトを見る可能性のあるステークホルダーは多岐にわたります。

「受益者」と「それを支える団体」、というのは、ぱっとイメージがつかないかもしれませんが、たとえば筆者が以前プロボノで携わった「ブリッジ・フォースマイル」の場合は、

  • 受益者=児童養護施設に通う中高生
  • 受益者を支える団体=児童養護施設など

にあたります。
児童養護施設を出た後のサポートについて、受益者本人が検索することもありますが、児童養護施設が検索するというパターンもあります。
それぞれのユーザー層が求める情報は似ているようで異なることもあるので、だれに何をどう見せるかはきちんと設計が必要です。

ターゲットが1種類であっても、きちんとターゲット設定や、シナリオを作るにはそれなりの時間がかかりますが、さらにターゲットが複数となると、「誰の何のニーズを優先するか」という「優先順位の検討」が必要になってくるため、複雑になります。

Webサイトのターゲット設定について相談できる経験者が周囲にいない場合は、「ペルソナ設定」、「情報設計」や「カスタマージャーニー」などをキーワードに検索したり、セミナーや書籍などで勉強したりするとよいでしょう。

一般に、取り扱う事業(社会課題)に対する認知・理解が低いことが多い

企業は、儲けて活動を維持または拡大することが一般的な目的なので、事業は「儲かるアテがある」と思います。つまり「それを欲しい人がたくさんいる」または「それを欲しい人は少なくても、高額支払ってくれる人がいる」パターンだと思います。
それに対しNPOは、「社会課題を解決する」「困っている人を助ける」ために活動するため、儲からない(お金を払う人が少ない・支払い能力がない)/ニッチすぎる等が多く、それゆえに企業も行政もその社会課題に手を出しません。

すると、一般の人たちにその社会課題に対する認知・理解そのものは広まらないため、「何それ?」「そんな人いるの?」「そんなことに困っている人いるの?」「困っている人はいるだろうけど、えらくニッチだね(自分には関係ない)」というのが、その社会課題を知らない人の反応であることが多いため、まずは社会課題について説明が必要なことも多々あります。

「理解」と「行動」の間に「共感」が必要

また、人は「理解」ができたとしても「行動」には必ずしも至りませんから、「理解」と「行動」の間をつなぐ「共感」という大切なステップが必要です。
受益者には、「自分がまさに困っていることを、よくわかってくれている!」という安心感、支援者には「もし自分が当事者なら?」ということを想像させて、「支援したい」と思わせるコンテンツや表現も必要になります。

「共感」と「行動」の間にはさらに「信頼」が必要

そして、たとえ共感はしたとしても、認知度の低い、他に類似のない団体の活動に、支援なり寄付なり、受益者からのサービス提供申し込みなりの「行動」できるかは話が別です。
どうやって代表の人となりや、活動に信頼をしてもらうかということは、企業のWebサイト以上に必要になります。

ぜひ上記のようなことを意識して、Webサイトの設計や表現を考えましょう。

この記事を書いた人

Sumiyo MAKINO

大学卒業後、ベネッセコーポレーションに入社、コミュニティ運営、サイト企画、編集、Webプロモーションなどに約15年従事。
退職後、フリーランスとして関西のソーシャル系の企業・団体を中心に、事業計画・運用改善・ディレクション・プロモーション・編集・ライティングなどでサポート。NPO広報友の会。
2017年よりビッグイシュー・オンライン共同編集長。​
2019年、準認定ファンドレイザー®試験合格。