プロボノとは、専門職の知識・スキルを活かしたボランティアのことで、たとえば弁護士が契約書作成を手伝ったり、公認会計士が財務のアドバイスをしたり…といった社会貢献をボランティアで行う人たちのことです。

NPOがプロボノ仲介団体の紹介で「プロボノ」に協力してもらうことになったとき、「外注」や「ボランティア」と異なり、特に配慮すべきことはあるのでしょうか。

プロボノ仲介団体のNPO法人「サービスグラント」関西事務局の堀さんに「サービスグラントのプロボノとのコミュニケーションのコツ」お伺いしてきました。

「プロボノとのコミュニケーションのコツ」まとめ

1. プロボノからの指摘に対し、素直な心を持つ
2. 無料だからと言って遠慮しない
3. 「NPO業界の当たり前」を、プロボノに期待しない
4. お金が発生しない分、「相手を大事に思う気持ち」を行動で示す
5.プロジェクトにかかわる担当、特に窓口は「覚悟」をもって臨む

1.プロボノからの指摘に対し、素直な心を持つ

“NPO側は、「想いが似ている人」の集まりなので、“外”からの目で見た「耳の痛い指摘」や、異なる視点での意見交換に慣れていないことがよくあります。

NPO側に外注の経験があったとしても、よくあるのは「知り合いの紹介」等で格安でやってくれたりする“身内”の延長が多く、そういった人たちはNPO側に近い立場を取ってくれるので厳しい意見をされるケースなんてほとんどないまま来てしまった、という感じのことが多いです。

また、いわゆる一般の「外注」の経験がある場合も、安さを重視して外注先を選んでいると、相手は「仕事を回す」ことを優先するでしょうから、経営や運営にそこまで踏み込んだ意見をしてくれることはまれでしょう。

サービスグラントのプロボノのプロジェクトの場合は“マーケティングフェーズで課題はこれです”、と定めるフェーズが必ずあるのですがそこで「そんなことない!」とNPO側が耳をふさいでしまうケースが時々あります。

プロボノ側にしてみたら、調査を踏まえての分析で、大切なフェーズなのに…とやる気を削がれてしまうんですよね…(苦笑)”
(堀さん)

耳が痛いことかもしれませんが、第三者が見てよかれと思っての指摘です。
プロボノに依頼するということは、そういう「外部の目線」を得られる機会と心得て、素直な気持ちで提案を受け入れる、という覚悟があるとよいですね。

2.無料だからといって遠慮しない

“逆に「無料でやってくれているから、『あれ?』と思っても言いづらい」というケースもあります。

お支払いが発生していたならば、ダメ出しや催促もしやすいという人も「無料でやってくれているのに、せっかくのやる気を削いだら申し訳ない」と思って変な遠慮があって言えないまま進行してしまうケースがあります。
結局後になって「やっぱり違うと思うんです…」というちゃぶ台ひっくり返しパターンも
これまでにありました。

立場についてNPO側が上とか、プロボノが上とかありませんが、サイトのオーナーは団体であるという前提を忘れず、譲れないと思うところはきちんと指摘して対等な立場で、社会の課題を共に解決するパートナーとして同じ目標を目指し、異なる視点どうしディスカッションすることを心がけたいですね。”
(堀さん)

3.「NPO業界の当たり前」をプロボノに期待しない

プロボノは専門職のボランティアであって、NPOがフォーカスする社会問題に関心があってプロジェクトに関わろうとしたわけではありません。
また、プロボノが支援に割ける時間も優先順位も人それぞれです。
そのため、NPOの支援範囲の社会課題に対する知識量や熱意が、NPO側とギャップがあるのは当然です。
(もしNPO側と変わらぬ知識量や熱意が満ち溢れるプロボノに巡り合うとしたら、それは相当まれなラッキーです)

「私たちがこんな想いで頑張っているのに、プロボノが同じ熱意で取り組んでくれない」と不満に思うケースもあるようですが…。

“そんなに同じくらい熱意があるなら、その人もNPOとしてやってるはず。
「業界の当たり前」は「ない」前提で、プロボノを問い詰めないであげてほしいですね”
(堀さん)

プロボノはNPOと一般人の感覚の橋渡しをしてくれる存在です。
知識や熱意に過剰な期待を寄せないようにしたいところです。

4.お金が発生しない分、「相手を大事に思う気持ち」を行動で示す

プロボノに依頼するとお金は発生しませんが、その分プロボノが気持ちよくプロジェクトを進められるように配慮したいもの。

“ついつい返事を放置したり、判断を先延ばしにしたり…ということがないようにしてほしいですね。
レスポンスの早さ、正確さで「相手を大事に思う気持ち」として示すようにしたいものです。“
(堀さん)

プロボノに、サイト制作を丸投げすることはできません。
確認を求められてすぐには返事ができないとしても、代わりになる情報を提供したり、いつなら渡せる、(またはそもそも渡せない)等の情報を積極的に提供することを心がけましょう。

5.プロジェクトにかかわる担当、特に窓口は「覚悟」をもって臨む!

Webサイトで取り扱う情報は多岐にわたることが多く、一人の担当が判断しきれないことが多々あります。ある担当が「OK」といっても、その他の担当がNGと言ったり、代表に見せたら後でひっくり返ったり…ということのないように、だれがどこまでのチェックをするのかをあらかじめ決めて、チェックするスケジュールをきちんと確保する必要があります。

“特にNPO側の「窓口担当者」は「ただの伝達役」では困ります。
複数のフィードバックがNPO内で矛盾していた場合、それをプロボノ側に伝える前に、団体内ではどこに着地させるかの調整ができる人が望ましいです。
また、時にはNPOとプロボノの調整役としても機能する必要があります。

プロボノに頼んだ以上は、ある程度「覚悟」をもって飛び込んでほしいですね!“
(堀さん)

窓口担当をNPO内でお願いできる余裕がない場合は、大学生インターンも視野に入れてはいかがでしょうか。
社会貢献に意識が高く、デジタルネイティブである彼らの世代は、NPOのオトナたちが期待する以上に活躍するかもしれません。
日本ではプロボノはまだ珍しい「社会の貴重な資源」です。

「またプロボノをしたい」「ほかの人にもプロボノを勧めたい」と思ってくれるかどうかはNPO側のコミュニケーションにかかっているといっても過言ではありません。
一人でも多くのプロボノに参加してもらうために、上記のインタビューが参考になれば幸いです。

この記事を書いた人

Sumiyo MAKINO

大学卒業後、ベネッセコーポレーションに入社、コミュニティ運営、サイト企画、編集、Webプロモーションなどに約15年従事。
退職後、フリーランスとして関西のソーシャル系の企業・団体を中心に、事業計画・運用改善・ディレクション・プロモーション・編集・ライティングなどでサポート。NPO広報友の会。
2017年よりビッグイシュー・オンライン共同編集長。​
2019年、準認定ファンドレイザー®試験合格。