予算にかかわりそうな事項を確認(教育系NPO法人の例―<4>)

「Webサイト制作にかかる相場がよくわからない」という声をよく聞きます。何がどうなるとどんな費用がかかるのでしょうか。とある教育系NPO法人のWebサイト構築のご相談にあたり、費用についてお話しした内容を紹介していきます。

目次

1-1:Webサイトの目的と優先順位を確認
1-2:Webサイトのターゲットはどんな人?
1-3:ターゲットが理想の状態になるために必要なコンテンツの洗い出し
1-4:予算にかかわりそうな事項について確認(本記事)
1-5:運用サイクルを確認
1-6:Web制作会社の選び方
1-7:制作会社3社に制作見積もりを出したらピンからキリまでなんと10倍以上の差が!
1-8:本人許諾があってもWebサイトに掲載できない写真がある

前回は「1-3:ターゲットが理想の状態になるために必要なコンテンツの洗い出し」として、Webサイトの目的を果たすためのコンテンツの洗い出し方についてご説明しました。
しかし、洗い出したコンテンツをどれくらい実装できるかどうかは予算によります。
そのため、Webサイトの構築・運用にかかる代表的なお金について説明をしました。

「初期費用」だけでなく「運用費用」もかかることがあることに注意

新規でWebサイトを作るときに必要なこと 7つ」でも軽くご紹介しましたが、Webサイトをつくると「初期費用」だけでなく「運用費用」もかかることがあることに注意が必要です。
「ホームページ 制作」などで検索すると、「サイト構築(初期費用)がタダ!」というサービスも見受けますが、月額の利用料等の名目で毎月課金が発生し、長く使っていると結局高くつくというケースもあるため、どのくらいの期間利用するつもりなのか、月額料金に含まれるサービスは何なのか等を確認し、利用期間全体でのコストと得られるメリットを考慮して総合的に判断するとよいでしょう。

まずは「Webサイト構築時にかかることの多い費用」は下記のとおりです。

  • ドメイン・サーバーにかかる費用
  • Webサイトの構築方法によってはかかる費用
  • 各種フォームなどのツール利用にかかる費用
  • ロゴ作成費用
  • 写真撮影・素材写真購入費用

以下にそれぞれ簡単に解説します。

ドメイン・サーバーにかかる費用

まずドメインですが、今回の団体さんはNPO法人化に伴い、独自ドメインを取得する想定です。
正会員・賛助会員や寄付・ボランティア等を集めたい、という場合に、団体の発信物としての信頼性は大切ですし、Googleが提供している無料リスティングサービス(Google AdGrants)を利用したい場合に、独自ドメインを持っていないとその資格が得られないためです。

また、サーバーも無料サーバーではなく、有料のサーバーで展開していきます。
こちらも団体の信頼性という意味で、予期せぬ広告が表示されてほしくないという理由や、(将来的にでも)WordPress等別のツールを利用したいと思ったときに、無料のサーバーでは機能が制限されて使えないケースがあるからです。

筆者は小規模サイトのドメイン・レンタルサーバーを自分で用意するときはGMOペパポ株式会社が提供するムームードメイン(ドメイン利用年額920円~)やロリポップ! (レンタルサーバー利用月額100円~)を使ってきましたが、比較サイト等で、ニーズややりたいこと、予算等と相談して決めていくとよいでしょう。

ドメインとサーバーについてまとめると

<ドメイン>
独自ドメイン取得すると初年度1000円~数千円程度、運用費用は年1000円~数千円

<サーバー>
有料サーバーレンタルすると月額100円程度~、月額100円~

といった費用がかかることになります。
たとえば、使用したいドメインの使用料が年間3000円とすると、5年で15,000円。
サーバーの利用料が月額300円とすると年間で3600円、5年で18,000円となります。
支払い形態は毎月払いや半年や1年分の一括払い(割安となる)もあるので、経済状況と相談して決めましょう。

サイトをどう作るかによってかかる費用が異なる

次に、サイトをどう作るかによって費用が異なることに注意です。
最近はHTMLやCSSの知識がなくても、直感的に無料や安価で作れるホームページ作成サービスなどもありますが、こちらも「初期費用」と「運用費用」に注目しましょう。

1. 無料Web制作サービス(JimdoやWix、ペライチなど)

多彩なテンプレートをもとに、Webブラウザ上で画像を配置したり、テキストを編集したりできるツールです。

(初期費用)

基本0円

(運用費用)

・基本0円 (広告を外すには別途有料)
・独自ドメインを使用する場合はドメイン費用

(向いている案件)

・予算が少ない
・急いでいる・一時的な告知
・広告が表示されることがある等を許容できる
・今後大幅にページが増えることはない

参考:Jimdo   /    Wix   /   ペライチ

2. WordPressなどのCMS(コンテンツマネジメントシステム)

更新頻度が高かったり、ページ数が多い時にはWordPressなどのCMSツールを使うのがオススメです。

(初期費用)

0円
※外注するのであれば設定費用(数万円~規模により変動)
・レンタルサーバー費用、独自ドメインの場合ドメイン代

(運用費用)

・レンタルサーバー費用、独自ドメインの場合ドメイン代

(向いている案件)

・運用(更新)にお金や手間をかけたくない
・更新頻度が高い、同じフォーマットでページが増えていくコンテンツが多い(ブログ等)
・広告を表示させたくない

※参考記事:Webサイトを作るときは、WordPressなどの CMSがオススメ

3. 制作を外注し、運用は自力でやる

(初期費用)

・更新システムを導入するより初期費用は安価
※デザインやページ数により価格は異なる
・レンタルサーバー費用、独自ドメインの場合ドメイン代

(運用費用)

・0円
※スタッフの人件費はかかる
・レンタルサーバー費用、独自ドメインの場合ドメイン代

(向いている案件)

・初期に出せる予算が少なく、運用費もかけたくない
・スタッフにWebサイト構築に詳しい人間がいる
・更新頻度が低い
・広告を表示させたくない

4.制作・運用ともに外注する

(初期費用)

・更新システムを導入するより初期費用は安価
※デザインやページ数により価格は異なる
・レンタルサーバー費用、独自ドメインの場合ドメイン代

(運用費用)

・外注費
都度依頼の場合 数千円~
月額固定の場合 数万円~
・レンタルサーバー費用、独自ドメインの場合ドメイン代

(向いている案件)

・初期に出せる予算は少ないが、運用費は少しなら出せる
・スタッフにWebサイト構築に詳しい人間がいない
・広告を表示させたくない

5. 制作・運用ともに自力で行う

(初期費用)

・制作0円
・レンタルサーバー費用、独自ドメインの場合ドメイン代

(運用費用)

・レンタルサーバー費用、独自ドメインの場合ドメイン代

(向いている案件)

・とにかくお金がない
・スタッフにスキル・時間がある
・見栄えは妥協できる
・更新頻度が低い
・広告を表示させたくない

6. 有料Web制作サービス

(初期費用)

0円~月額数万円
※0円の場合は月額利用料がかかることが多い
・レンタルサーバー費用、独自ドメインの場合ドメイン代

(運用費用)

0円~数十万円
※運用契約内容による
・レンタルサーバー費用、独自ドメインの場合ドメイン代

(向いている案件)

・初期・運用の予算がある
・スタッフにWebサイト構築に詳しい人間がいない、または時間が割けない
・広告を表示させたくない

お問い合わせや申し込みフォームは無料のツールはたくさんある

Webサイトを構築する目的の一つに、利用者からのお問い合わせや申し込みといったアクションを受け付けたい、ということがよくありますが、こちらは無料で利用できるものがいろいろあるので、用途に合わせて選ぶとよいでしょう。

筆者が提案したのは以下のツールです。

Googleフォーム
Googleのアカウントを持っていれば、だれでも無料で設置できます。

・WordPressのお問い合わせフォーム
WordPress を使うのであれば「MW WP Form」などのプラグインをインストールすることにより、無料でお問い合わせフォームを設置することができます。

ロゴを作るなら、別途費用がかかると心得よう

ロゴを新たに作りたい場合は、Webサイト制作費用とは別に費用がかかると考えたほうが良いでしょう。
見やすいシンプルなものでも、団体・企業の理念やターゲットに合わせたデザインを作り上げるのに、それなりの工数がかかるからです。

今回の団体では、Webサイトを構築する前にクラウドソーシング「ランサーズ」でクラウドワーカーにロゴを制作していただいており、それを今回のWebサイトでも利用したいとのことだったのでロゴの制作費用はかかりませんでした。

新規にロゴを作る際には、「ついで」ではなく、団体の顔を作るつもりで様々な検討をするのがおススメです。
ロゴがまだない団体は、「NPOのためのデザイン」主催の林田さんのサイトでもロゴについてさまざまな記事が展開されていますので、ロゴの作成を検討している場合は確認してみましょう。

写真撮影・素材写真購入費用もお忘れなく!

「スタイリッシュなWebサイトを作りたい」「訴求力の高いWebサイトにしたい」という要望がある場合、Webサイトに使う写真素材はとても重要です。
記録のために撮影していた素材ではトップページやメイン画像として使えないことも多々あるため、カメラマンが撮影した写真がない場合は、別途撮影するか、素材写真を購入する費用も捻出できないか検討するとよいでしょう。
どうしても捻出できないけれど、写真にこだわりたい…という場合は、縁のある方にボランティアでやってくれる方がいないか探すという手もあります。

今回の団体さんでは、これまでの活動のなかで写真店ともお付き合いがあるということだったので、撮影が必要になった場合は、付き合いのある写真店にお願いして無料で写真撮影していただく方向で検討していきましょうということになりました。

次回は、「運用サイクルを確認」について紹介します。

この記事を書いた人

Sumiyo MAKINO

大学卒業後、ベネッセコーポレーションに入社、コミュニティ運営、サイト企画、編集、Webプロモーションなどに約15年従事。
退職後、フリーランスとして関西のソーシャル系の企業・団体を中心に、事業計画・運用改善・ディレクション・プロモーション・編集・ライティングなどでサポート。NPO広報友の会。
2017年よりビッグイシュー・オンライン共同編集長。​
2019年、準認定ファンドレイザー®試験合格。