Web担当者に復帰した人が20年前と違っておさえておくべきこと4つ

「20年ぶりくらいにWeb担当者に戻ったら、昔とWebがずいぶん違っているようだけど、何をおさえるべきでしょうか…」というご相談をいただきました。

この20年で変化したことは山ほどありますが、なんとか大きく4つにまとめてみたいと思います。

違い1:CMSの登場

CMSとは、Contents Management System(コンテンツマネジメントシステム)の略です。ひと昔前に「Webサイトをつくろう」と考えた場合、制作会社に依頼をするか、自分で画像処理やHTML(Webページを表示させるための決まりごと)を自分で使える必要がありましたが、今はインターネットにつながる環境さえあれば、誰でも容易にWebページをつくることができるようになりました。

1枚もののランディングページなどであれば『ペライチ』、『Jimdo』などの無料ツールを使い、自分の好きな素材をあらかじめ決められたフォーマットに当てはめることで数時間もあれば設置することができます。
また、少し知識があれば『WordPress』といったツールを使って複数ページを生成することもできます。更新したりページを増やしたりする機会が多い場合、社外に依頼するのではなく自力でやりくりしたいというニーズの表れでしょう。

関連リンク:Webサイトを作るときは、WordPressなどの CMSがオススメ

「Webフォント」の登場で増殖がより楽に

なお、ふた昔前は「タイトル画像」が当たり前で、タイトル画像を増産させるのもいちいちPhotoshopを開いて文字を編集する時間がかかっていましたが、今は「Webフォント」という技術が登場し、タイトルにふさわしいフォントで、CMSにタイトル周りのテキストを入力するだけで様々なフォントでタイトルをつけることができます。

参考リンク:Webフォントの Google Fontsが日本語に対応。早期アクセスが実施中。

違い2:スマホ・タブレット利用が一般的に

ふた昔前のWebサイトといえば、端末のモニタサイズに合わせて「800×600」で閲覧しやすいようデザインされたものでした。
しかしパソコンの端末の解像度はどんどん大きくなり、かつての倍以上の解像度となってます。そして人々の持ち歩く端末はガラケーから様々なサイズのスマホに移行。タブレットの登場もあり、人々がWebサイトに来訪する端末サイズのバラエティが豊富になりました。

レスポンシブデザインが一般的に

かつては「パソコン用のサイト」と「ガラケー用のサイト」で別々に制作していたWebページの画面は、端末のサイズを自動で認識して最適化されたページを表示する「レスポンシブ」デザインが一般的となっています。
そして、サイトの目的やターゲットにもよりますが、「スマホファースト」といって、スマホやタブレットに表示されることを優先して設計・デザインがなされることが多くなっています。

参考リンク:スマホ対応ってどうしてもしなきゃだめですか?スマホ対応しなくてもよいケースとは

アプリの浸透

また、スマホやタブレットの普及とともにアプリをダウンロードして利用するという行動が一般的になりました。ニュースサイトやSNSなど、「使い続ける」ことを前提としたサイトは、使用時の利便性を高めるためにアプリを開発することが多くなっており、そういったWebサイトの運営者はアプリ開発や運用の知識も求められることがあります。

特に若い人たちの間ではお気に入りのアプリを開いてタイムラインを眺めるのが習慣となり、かつてより「気になることを検索する」という行動をしなくなりつつあるようです。

違い3:各種SNSの登場

ふた昔前に、自分の担当するWebサイトに集客する方法といえば「Yahooカテゴリ」に登録されるように手配したり、チラシなどのリアルな媒体にURLやQRコードを掲載したり、関連するサイトにリンクを貼ってもらったりする、といったことでした。
そして世界中にインターネットが浸透してくると、YahooやGoogleといった検索エンジンは、インターネットを巡回し、「ユーザーの入力したキーワードに対し、適切なWebページを表示させる」システムを発展させ、そのシステムを意識してWebページが作られるようになっていきます。(これをSEO:Search Enginge Optimizationと言います)

しばらくして、大手サイトにバナーを設置したり、キーワードに対して検索エンジンに広告を出すリスティング広告といったネット広告が広がりました。

その後、Twitter やFacebookといったSNSの利用が拡大していったことにより、SNS経由での集客は無視できないボリュームになりました。

さらにInstagramやYouTubeなどの画像・動画共有サイトの利用者・利用時間は増大の一途であり、画像や動画と相性のよい商品・サービスであれば、プロモーションに欠かせなくなりつつあります。

予算をかけなくても個人でもフォロワーが多くさえあれば、人々へのアプローチが容易になったということですが、逆に言うとフォロワーを拡大するためには、様々な手法を使ってこまめに発信し続けることが必要になってきたということです。

参考リンク:社内で協力を得づらいSNSの運用を続けるべきか?

違い4:検証の手間が劇的に改善

ふた昔前はVisionalistなどの検証ツールを導入してPVを計測したりしていましたが、いまはGoogle AnalyticsやGoogle Search Consoleという無料の検証ツールを使うことで、成果を測定しやすくなっています。

Google Analytics

Googleの提供する検証ツールです。指定のタグをWebページのタグに仕込んでおくことで、様々なデータを取得することができます。

かつてはPVくらいしかわからなかったログですが、現在は「目標」となるアクションを設定して、その目標アクションに各ページや各集客方法がどれだけ貢献しているのかを計測することもできるようになっており、仮説→検証→改善のサイクルを回しやすくなりました。

詳しくはGoogle Analyticsを導入して管理画面を覗いてみるのが手っ取り早いですが、
「ユーザー」という項目からユーザー数、新規ユーザー数、ユーザーの興味関心、どこからのアクセスか(市区町村レベルまで)、Webサイトのユーザーの使用する端末や、解像度のサイズなど。
「集客」という項目から、オーガニック検索経由、SNS経由、メール経由、直接URLをたたいて、リンクで、広告経由、など。
「行動」という項目から、どのページがどのくらいの時間見られたか、直帰したかなど。
「コンバージョン」から、どのくらい目標が果たされたかなど。
またそれぞれの項目をクロス集計して検証することもできるようになっています。

Google Analyticsで見られるようになった数字が、「世の中のWebサイトを検証する上で参考にすることが多くなった」数字と捉えることもできると思いますので、Google Analyticsで今まで取れなかった数字を中心に見て行くとトレンドが見えてくるかもしれません。

参考リンク:Webサイトの何を改善すればいいかわからないならGoogle Analyticsの「目標」と「ページの価値」設定!

Google Search Console

サイトに来訪したユーザーが残したログはGoogle Analyticsで取得できますが、Webサイトに含まれるキーワードで検索しておきながら来訪できなかった機会をGoogle Search Consoleで推測することができます。

サイトに含まれるキーワードのうち、どのようなキーワードが何回くらい検索されており、そのキーワードではGoogleで何位表示されているか、ということもわかりますので、
力を入れるべきコンテンツを推測することができます。

参考リンク:Google Search Console入門:Search Consoleにサイトを登録する


20年前と比べるとあまりにもいろいろ変わりすぎているので、まずはGoogle Analyticsで担当サイトのログを眺めて、どんな数字が取れるようになったかを見ながら、都度知らないものを調べ、取れる施策を考えて行くのが良いのではないかと思います。

この記事を書いた人

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MARCHITECT

大阪出身。大学卒業後上京し、一部上場の教育系の出版社でコミュニティ運営、サイト企画、編集、Webプロモーションなどに約15年従事。
退職後、フリーランスとしてNPOや社会的企業を中心に、事業計画・運用改善・ディレクション・プロモーション・編集・ライティングなどでサポートしています。