NPO法人のWebサイトを作っていく際の流れについて、事例をもとにご紹介しようと思います。
この団体がWebサイトを作るまでの情報発信
この団体は地元の高校生のキャリア教育プログラムを受託することを中心にした団体で、これまではブログ・Facebook、Twitterなどの「時系列メディア」で情報発信をしていました。
NPO法人化申請をすることに伴い、正会員・賛助会員や大学生ボランティア・アルバイトを増やす必要がこれまで以上に出てきたため、公式Webサイトで整理された情報を提供する判断をされました。
参考:Facebookやブログしか持っていない団体・企業は、いつWebサイトを持つべきか
この相談でやりとりした内容を、時系列・テーマ別にご紹介していきます。
第1回めの打ち合わせ事項
1-1:Webサイトの目的と優先順位を確認(本記事)
1-2:Webサイトのターゲットはどんな人?
1-3:ターゲットが理想の状態になるために必要なコンテンツの洗い出し
1-4:予算にかかわりそうな事項について確認
1-5:運用サイクルを確認
1-6:Web制作会社の選び方
1-7:制作会社3社に制作見積もりを出したらピンからキリまでなんと10倍以上の差が!
1-8:本人許諾があってもWebサイトに掲載できない写真がある
Webサイトの目的と優先順位を確認
Webサイトを構築する際、いきなりコンテンツの詳細やデザインの話に入ると、あとで「じつはこんな事業もやっている」「あんなこともしたい」と出てきてしまい、プロジェクトが長引いてしまうことがあります。
そのため初回の打ち合わせでは、いただいていた資料やチラシをもとに筆者が作成した資料を使い、公式サイトの目的の洗い出しとそれらの優先順位を確認しました。
(優先順位を決める工夫)
優先順位を決める際、意欲的な人であればあるほど「あれもこれもどれも重要」となることが多いので、筆者は目的を洗い出した後に全体を100として、優先順位を可視化いただくようにお願いしています。
(筆者がお持ちした資料)
会議に先立ち、団体にいただいていた資料やチラシをもとに、たたき台として筆者がサイトの「目的」を下記のように可視化してみました。
※団体名等は伏せています。
※NPOの活動の狙いや状況・規模などにより、目的はさまざまで、上記は一つの例です。
団体に上記の資料を見せてヒアリングする中で、
①正会員・賛助会員の募集だけでなくお好きな額の寄付でも、物品(ノートパソコン等)でも、物件でも、もらえるものはなんでもありがたい
②団体の資料にあった「協力企業になる」という表現は、実は「正会員になる」という意味
ということがわかりました。
(このように、サイトを構築する前に目的を可視化することで、チームメンバーや制作に関わる人との認識齟齬を早い段階で発見できます。)
また、「プログラム参加者・ファン(学生)を増やす」の目的ですが、この団体が開催しておられたのは高校生向けのプログラムのため、プログラム参加者は高校生のみと想定していたのですが、ヒアリングの結果、協力してくれる大学生ボランティアやアルバイトもプロラム参加者とみなし、「<活動に参加する人材>を増やしたい」ということもわかりました。
そして「運営にかかる工数を削減する」は、いただいた資料にあったわけではなく、筆者の想像からの提案です。
(寄付者の管理、プログラムへの協力企業、参加者の取りまとめに、CANPANなどの寄付受付・決済ツールをご提案するつもりでした。)
ヒアリングをしてみると、ルーチン作業において「紙」で参加者の管理をしていることや、参加企業とのやりとりはボランティアスタッフがそれぞれのやり方で日程等調整しているなど、運営にかかる工数は思ったよりかなり大きそうなことが判明し、その解決が必要だと判明。
さらに「取り組みを他の地域でも参考にしてもらう」も、いただいた資料にはありませんでしたが、この団体がNHKや大手メディアに何度か取り上げられたことなどでの注目度合を考えると、他の地域の教育機関や自治体からのお問い合わせの対応にもけっこう時間がかかっているのではないかと推測し提案しました。
するとたしかにお問い合わせ対応には時間がかかるということだったので、問い合わせ者にとって必要な情報をあらかじめ載せたり、正会員になることを条件に視察を受け入れるなどしてはどうか等のアイデアを検討することになりました。
等々、サイトの目的はいろいろ捨てがたいものが多々あったのですが、思いきって優先順位をつけ、全体を100としてパワーの配分をしていただきました。
まとめた結果がこちらです。
そのうえで、それぞれのターゲット像やその方々になってほしい状態を目線合わせすることになりました。
次回は「Webサイトのターゲットはどんな人?」についてお伝えしていきます。