Googleがモバイルファーストインデックス(Mobile First Index)を導入。その影響は?

Googleは 2016年 11月 5日、同社のブログサイト「Googleウェブマスター向け公式ブログ」で、「モバイルファーストインデックス」の導入実験を開始するとアナウンスしました。

モバイルファーストインデックスとは一体何なのか。サイトオーナーにはどんな影響があるのでしょうか?

評価の基準を PC向けからスマホ向けサイトに変更

モバイルファーストインデックス(以下、MFI)とは、その名の通り「モバイル向けのサイトを最初に(評価する)インデックス」という事になります。インデックスというのは、Googleが検索結果に各サイトを反映する作業のことで、つまり、Googleの検索結果の順位に影響するのがスマホ向けのサイト(が優先される)ということになります。

Googleが Webサイトを検索結果に反映させるしくみ

ここでまずは、Googleが私たちの Webサイトを検索結果に表示するしくみを、簡単に紹介しましょう。例えば、新しく開設された Webサイトの場合、Googleは次のどちらかの方法でその存在を知ることになります。

  • 他の既存サイトから、リンクが貼られた
  • Google Search Consoleにサイトが登録された

そして、Googleは同社の「クローラー」というプログラムを使って、そのサイトにアクセスし、内容を読み取ってどのようなコンテンツがあるかや、SEOのルール違反をしていないか、安全性は高いか等を検査して、Googleの検索用データベースに登録するのです。

その後は定期的に、世界中のサイトを巡っては更新されたページや追加・削除されたページを監視しながら、常に検索結果をアップデートしています。この時の「クローラー」が今回のトピックスのポイントになります。

クローラーは PC? モバイル?

私たちが、Webサイトを閲覧するとき、PCで閲覧すると PC向け、スマホで閲覧するとスマホ向けのサイトが表示されることがあります。これは、閲覧する Webブラウザーが持っている「エージェント情報」と呼ばれる情報で、Webサイトはアクセスされた端末が PCなのか、スマホなのかを判別することができるため、適切な内容を送信することができるのです。

では、Googleのクローラーはどのように判断されるのでしょうか? ここが、今回のポイントです。これまで、Googleのクローラーは「PCのブラウザー」として、各サイトを訪れていました。やがて、スマホが台頭してくると、別途「スマホのブラウザー」としてもアクセスするようになり、この時、スマホ向けにコンテンツが正しく配信されていると判断されると、一時期検索結果に「スマホ対応」というラベルを与えるという実験を行なっていました。

現在では、この実験は終了してラベルは表示されなくなっています。つまり、現在 Googleは PC向けのクローラーと、スマホ向けのクローラーを走らせているというわけです。

クローラーの優先順位が変わる、モバイルファーストインデックス

さて、ここまで説明してようやく本題に入れるのですが、今回の「MFI」は、つまりこのクローラーの優先順位がこれまでは PC向けだったものが、スマホ向けのクローラーが優先されるようになるということになります。

これにより、順位の変動が起こる可能性があります。

影響があるのは、SEO対策を行なっているサイト

では、具体的にどんな影響が出るでしょう? 自分のサイトが、Googleから表示されなくなってしまうのでしょうか? 実際には、そこまで大きな変化は(少なくとも当面は)起こりません。

Googleは、もしスマホ向けのサイトがないサイトだったり、あるページにスマホ向けのページがなかったりしても、これまで通り PC向けのクローラーがそれを判断して、検索結果に適切に反映させてくれるとインタビューで回答しています。

問題となるのは、PC向けのサイトに熱心に SEO対策をしており、スマホ向けにはあまりしてこなかったサイトです。もしこの時、ものすごい一般的な言葉で Googleの検索結果の上位に表示できていたとして、スマホ向けのサイトにあまり力が入れられていなかった場合などに、順位がこれまでより落ちてしまう可能性はあるでしょう。

逆に、PC向けではあまり力を入れていなかったものの、スマホ向けに情報発信をしっかり行なっていた Webサイトの場合は、順位が上がるかも知れません。

大切なのは「ちゃんと」つくること

では、この MFIに対して、どのような対策をしたら良いでしょう? Googleのクローラーに対してスマホとして訪れてきても、PC向けのコンテンツを見せるとか、なにか要素を隠したり、見えない要素をあたかも存在するように見せかけるなど、SEOのテクニックはあるかもしれません。ただ、筆者としてのオススメは「ちゃんと」サイトを作ることという一言に尽きます。

つまり、Googleの仕様がどうなろうと、見る方に向けてサイトを作っていれば、特に大きな影響はないと言う事です。Googleの今回の実験は、Webの利用者が PCからスマホへシフトしていることへの表れです。今、スマホサイトがないとしても、やはり将来的にはスマホサイトを作った方が良いのは確かでしょう。

PCではある情報が見られるのに、スマホでは見られない。このようなサイトの場合、今回の実験で不利な影響を受ける可能性がありますが、それは同時に「スマホで見ているユーザーに不親切な作りである」と言うことの表れでもあります。このような、スマホユーザーに不親切な部分がないかを、今一度確認してみる良い機会かも知れません。

Googleが提供している「モバイルフレンドリーテスト」も活用して、より良いサイトを目指していきましょう。

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