Webサイト運営のご相談を受けていると、「Google Analyticsは導入しているものの、セッション、PV、離脱等や、「サイトコンテンツ」で人気のページがどれか、ということくらいを見るにとどまり、結局Webサイトをどうしていいかわかない。ただ忙しく更新を繰り返しているような気がする…」というケースが多いように思います。
今回は、Webサイトで力を入れていく方向性が見えてくるGoogle Analyticsの「目標」や「ページの価値」設定についてNPOのケースを事例に解説します。
Webサイトにおける目標(コンバージョン)とは?
どのような目的でWebサイトを運営しているかによって変わりますが、NPOでコンバージョン目標として設定することが多いものを挙げてみます。
※はNPOでなくても、コンバージョン目標として設定することが多い項目です。
- 利用者(受益者)からの利用申し込み ※
- 寄付申し込み
- ボランティア・採用申し込み
- 講演申し込み
- 物販の購入 ※
- 資料請求 ※
- お問い合わせ ※
ユーザーの、自分たちへの働きかけのアクションのうち、売り上げや収益につながった実績や可能性のあるものを「コンバージョン目標」に設定するということです。複数設定してもOKです。
各コンバージョンに、値段(=「ページの価値」)をつけよう
挙げてみたコンバージョン目標のアクションに、1アクションにつき、金額換算していくらのリターンがあるかを計算しましょう。
まだアクションの実績が1件もない場合は、見込みでOKです。(途中で変更も可能です)
例)利用者(受益者)からの利用申し込み
→利用者からお金をいただいている場合は、1回の申し込みの価格を算出して入力します。複数のプランや商品がある場合は、1回あたりの平均価格を算出します。
また、1回申し込むと複数月にまたがって利用する場合は、平均継続月数をかけた金額を算出します。
(厳密に行いたい場合は、そこに利益率をかけます。)
例)寄付申し込み
→寄付のお申し出1件あたりの平均額を算出してください。
※あまりに額の大きいイレギュラーなものがある場合は、それを除いて平均を出すとよいと思います。また、毎月定額をいただくような場合は、寄付の継続月数をそれに掛け算します。
例)ボランティア・採用申し込み
ボランティア・採用を行う事で、事業を拡大することができる場合は、まずボランティアや採用した人一人が1か月で稼ぎ出す収益(厳密にやりたい場合は利益額)を算出します。
そのうえで、その平均金額に、採用スタッフの平均勤続月数を入れます。
例)講演申し込み
講演のお申し込みがあることで、どのくらいの金額的効果があるかを算出します。
有料の講演の場合は、1回あたりの講演料の平均額、講演をすることによる利用者拡大等の場合は、1回あたりの講演での過去の申し込み者数×利用料×平均継続月数を入れるとよいでしょう。
例)物販の購入
物販をしている場合は、1件の申し込みあたりの平均購入金額を入れます。
(これも、厳密に行いたい場合は、そこに利益率をかけます。)
例)資料請求、お問い合わせ
資料請求やお問い合わせをした人がその後、どのくらい実際のお申し込みをしているかの割合を算出し、お申し込みの1件あたりの平均売上にその割合をかけます。
もしも、「それぞれのアクションが1回あたりいくらなんてわからない…」というような場合は、優先度をあげて算出しましょう。
「成果との相関」のある仕事に注力するための準備で、非常に重要です。
「時間ができたらやってみる…」ではなく、「時間を作ってやらなければならない」と捉えましょう。
Webサイトの中で「コンバージョン達成」とするページがどこなのかを決める
上記に挙げた、「利用者(受益者)からの利用申し込み」「寄付申し込み」「ボランティア・採用申し込み」「講演申し込み」「物販の購入」「資料請求」などの申し込みが、Webサイトと同一のドメイン上でそれぞれのフォームで受けつけているのであれば、フォームの「お問い合わせ・お申し込みありがとうございました」という完了画面を「コンバージョン達成」のページとして設定すればOKです。
※コンバージョンの目標やページの価値設定はGoogle Analyticsの左上メニューから、該当のWebサイトを選び「管理」から「目標」→「新しい目標」を選んで設定します。
別サイトや別ツールがコンバージョン先になってしまう場合の考え方
団体のWebサイトの中にあるフォームで受け付けるというアクションができない場合はどうでしょう。
たとえば
- お申し込みフォームがWebサイトとは別のサービス(ASP)などで別ドメインとなり、計測できない
- そもそもWebサイト上で申し込みの流れは説明していても、申し込みそのものは受け付けておらず、電話や来店でお申し込みをする
といったケースです。
「お申し込みフォームがASPで別ドメイン」の場合も、フォームの種類によってはGoogle Analyticsの計測ができるシステムを搭載していることがあります。まずはASP業者に、「Google Analyticsのコンバージョン計測をしたいがどうすればよいか」を相談してみましょう。
それでもだめだった場合には、「別ドメインのフォーム」に飛ぶ前のページを用意します。
例)
「申し込みの流れの解説のページ」→「お申し込みはこちら」→「別ドメインフォーム」
という形です。そして一定期間「お申し込みはこちら」のページのセッション数と、実際のお申し込みの数を計測して、その割合を算出します。
そのうえで、該当のコンバージョンの値段にその割合を掛け合わせることで、近似値が算出できるので、それをコンバージョンの値段としてGoogle Analyticsの目標設定時に入力します。
電話や来店の場合も、「最終アクションの前にユーザーが見るページ」を設定しておきます。
電話であれば、「お問い合わせ先はこちら」として電話番号を案内したページのセッション数か、スマホユーザーが多いのであれば、スマホの電話番号タップ回数と、実際にこれまでかかってきた電話での成約率をかけあわせたものを近似値としてそれをコンバージョンの値段としてGoogle Analyticsの目標設定時に入力します。
コンバージョン目標を設定したことがない…というケースや、「トップページへのセッションを目標設定にしていた…」等の場合は、今日中にコンバージョンの値を算出して目標設定をしましょう。明日からの仕事が、大きく変わるはずです。