Webサイトを作るとなると、あれもしたい、これもしたいとなりがちですが、目的に合わせて絞り込むことも大切です。とある教育系NPO法人のWebサイト構築のご相談にあたり、サイトの設計段階でお話しした内容を紹介していきます。
1-1:Webサイトの目的と優先順位を確認
1-2:Webサイトのターゲットはどんな人?
1-3:ターゲットが理想の状態になるために必要なコンテンツの洗い出し(本記事)
1-4:予算にかかわりそうな事項について確認
1-5:運用サイクルを確認
1-6:Web制作会社の選び方
1-7:制作会社3社に制作見積もりを出したらピンからキリまでなんと10倍以上の差が!
1-8:本人許諾があってもWebサイトに掲載できない写真がある
今回は前ページまでで定めた「Webサイトの目的と優先順位」と「Webサイトのターゲット」をもとに、「ターゲットの人は最初、どんな状態でWebサイトに来訪するのか」「ターゲットの人はどんな情報や仕組みがあれば、理想とする状態(目的達成)に近づくのか」を想像してみます。
想いが強ければ強いほど「あれもしたい(しなくては)、これもしたい(しなくては)」となってしまい、結局何から着手していけばよいのかわからなくなるケースもあるのですが「Webサイトの目的と優先順位」→「それを達成するWebサイトのターゲット」→「それを支えるコンテンツ」という順に洗い出すことで、目指す方向に必要なコンテンツが絞り込まれていきます。
今回もまた、1回目の打ち合わせで使った資料をもとにご説明します。
(筆者がお持ちした資料の上段)
※団体名等は伏せています。
たとえば正会員・賛助会員になってほしいターゲットを例に、書き方を紹介します。
上段に、現状想定されるWebサイト来訪時の状態と、課題を書く
一番上の段に、(1)現状のWebサイト(ない場合はチラシやSNSなど)を見たしたときの状態(何で知ったか、どのような心理状態か)と、(2)現状、その方々が「理想とする状態」に近づかない理由を書き出してみます。
(1)は、口コミ等で紹介されて興味を持って来訪なのか、検索で何か困ったことがあって課題のキーワードで検索してきたのか、はたまた特定のキーワードで出稿したリスティング広告経由で来訪したかによって、見せるべきコンテンツは異なるかもしれないということに注意します。
今回は、プログラム参加者の保護者が、子どもや学校からの働きかけで「割とその気」で来訪することを想定しました。
次に(2)で、「割とその気」な人たちの多くが、今なぜ寄付をしていないのかということを考えた時に、「正会員・賛助会員の申し込みはFAXでのみ受付」であることが大きいと考えました。(補足:2017年(平成29年)ファクシミリの世帯普及率は35.3%。 世帯主年齢が40代では35.1%、30代で11.2%、20代で1.3%と言われていました・・)
(筆者がお持ちした資料の上段・中段)
※団体名等は伏せています。
次に、その人たちになってほしい状態を書きます。
(1)「割とその気」プログラム参加者の保護者に、正会員・賛助会員になることを決心してほしいので、「この団体が寄付に値するほど信頼できるものなのかどうかが判断つかない」とか「子どもがいいって勧めてきたけど…うーん」「支援しようと思ったけど、どうやって申し込めばよいのかよくわからなかった」などと思ってしまわれては困るわけです。
そこで、
・信頼できる団体・活動内容であることがわかる
・プログラムの成果が客観的に示され、説得力がある
・支援の方法・流れがわかる
という状態になってほしいのではと考えました。
(2)については、「家にFAXないから、申し込むのがめんどう」という人や「用紙を書いたけど、コンビニに持っていくのを忘れていた」という状態を避けるためWebサイト上で申し込みが完結し、さらに決済もそのまま完結させられる状態が望ましいと考えました。
※団体名等は伏せています。
最後に下段に、「なってほしい状態」を支えるためのコンテンツ例を書き出していきます。
(1)(2)で洗い出した「なってほしい状態」に必要なコンテンツを、いったん洗い出します。
(ここでは、流れに沿えばいくつ書いていただいても構いません。後でスケジュールや予算と相談します)
なお、NPOの場合「正会員・賛助会員の申し込み」や「寄付受付」は、イチから作らなくても、リーズナブルな価格で便利なサービスが世の中にありますので(参考:「NPO向けオンライン寄付決済システムまとめ」、検討いただくようお願いしました。
このような手順で、「正会員・賛助会員」のほかにも、「Webサイトのターゲット」で定めたターゲットごとにシートを作り、必要なコンテンツを洗い出していきます。
このあたりの仮説を持ち、可視化しておくことをお勧めする理由はいくつかあります。
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- Webサイト構築に関して「判断」する方が複数いる場合に、「好み」による判断や後戻りが少なくなる
- Webサイトリリース後、ログ分析をする際、「あるべき姿」と「現状」のギャップを図る際「あるべき姿」を再確認するのに役立つ
- Webサイトの担当者が変わっても、何がしたくてこうなったのかに立ち戻れるため、「大切にしたい部分」を外さない判断ができる
などです。
現在の情報の見せ方、仕組みを改めて見直し、理想とする状態に近づけるには何が必要か…ということを書き出してみます。
次回は、「予算にかかわりそうな事項を確認」について紹介します。