NPOのWebサイト制作。外注かプロボノかどちらがよいか?それぞれの特徴まとめ

NPOにとって、寄付やボランティアなどは、活動を継続・拡大していくために必要なリソース。
それらを獲得するには「広報」が大切で、昨今ではオンラインでの広報が欠かせません。

最初はありあわせの素材を使ってとりあえずのランディングページを用意したり、無料のブログやFacebookページを公式サイト代わりにして間に合わせたり…という手段でしのいでいる団体が多いようです。
しかしある程度拡大路線になってきたら、より多くの人に寄付者やボランティア等になってもらうことも視野に入れた、「信頼感のある公式サイト」が必要になってきます。

ただ、よほど恵まれたNPOでない限り、広報・ITスキルを持つメンバーを確保できることはまれでしょう。
そこで、Web制作会社やクラウドソーシングへの外注、またはプロボノといった方法を検討していくことになります。

NPOがWebサイトを外部のプロに委託する方法について、NPOの中間支援団体であるNPO法人「サービスグラント」関西事務局の堀さんにお話をお伺いしながら、それぞれ選ぶ際の基準をまとめてみました。

<Web制作会社、クラウドソーシング、サービスグラントのプロボノの特徴まとめ>

予算に余裕があり、急いでいるならWeb制作会社への外注

Web構築プロジェクトの成否は、制作会社が制作のチームにどれだけ「エース」人材を投入できるかにかかっています。そのため、「エース」人材は引っ張りだこです。
Web制作会社は「エース」人材を囲うために、それなりのコストをかけています。

つまりNPO側が「エース」に確実に依頼したい、納期が迫っている、等の希望があるのであれば、「人材の維持費にコストをかけているであろうWeb制作会社」に依頼するのがよいですが、NPO側にもそれなりの対価を支払う必要があるということです。
(窓口の負荷も、予算によっては制作会社側にある程度負ってもらうことも可能です)

「Webサイト構築の予算ってどのくらいが妥当なのか?」ということが気になるかと思いますが、家を建てるのに相場がないのと同じで、「どこに建てるか(=ドメイン、サーバー)」「どのくらいの広さか(=ページ数)」「どんな素材か(=デザイナースキル)」「どんな設計士に依頼するか(=マーケティング、情報設計)」等、どのような家(Webサイト)にしたいかによって予算は異なるので一概には言えません。

「安い!」と思っていても基礎工事がなっていない(=情報設計がなっていない)かもしれませんし、「高い!」と思っても老後までリフォームなしで住める物件(=デバイスの変化に対応しやすいつくり)かもしれないので、価格だけでは判断できません。

NPO歴が長い人にとっては、「一般企業(Web制作会社)の人って『ビジネス!』という感じでちょっと怖い」という印象があるかもしれません。

そういう場合は、Web制作会社の中にも「NPO制作実績」を売りにしている会社もあるので、参考にするのもよいでしょう。
NPOのためのデザイン」というサイトに詳しく掲載されています。
NPOの実績があるデザイン会社・デザイナー、団体、デザイン支援サービスまとめ 2015年版

プロジェクト進行、外注先の選定・管理に自信があるならクラウドソーシング

制作会社に依頼をするほどの予算はないけれど、ある程度期限は迫っており、かつ、自分たちで作るよりはもう少しプロっぽく作りたい…という場合には、クラウドソーシングという手もあります。

クラウドソーシングに登録しているワーカーの中には「初回の契約」を取りたいがためにかなり安価でも応じてくれるケースもあります。
ただし、そのスキルは「自称プロ」から「エース級」までかなり幅があるため、外注先の選定、管理に自信がないと厳しいかもしれません。
「サービスグラント」関西事務局の堀さんいわく、まだまだNPOでクラウドソーシングを活用しているところはごく少数派ではないかなとのことでした。

納期に余裕があり、提案を受け入れる度量があるなら、サービスグラントの「プロボノ」

納期に余裕があるなら、プロボノにチームを組んで対応してもらうのがよいでしょう。
プロボノ仲介の先駆者であるNPO法人「サービスグラント」さんが仲介してくださるプロボノにお願いするがおススメです。
筆者もこちらでプロボノとしてプロジェクト支援をした経験がありますが、こちらの団体は豊富なプロジェクト経験から進行をスムーズにする工夫が凝らされていると感じました。

例えばノウハウが詳細に落とし込まれたプロボノ用のマニュアルや、トラブルを未然に防ぐための必要な要素が盛り込まれた契約書等が整備されているため、トラブルの可能性は低いといえるでしょう。

アカウントディレクター、プロジェクトマネジャー、マーケッター、デザイナー、ライター、マークアップエンジニアといった、Webサイト構築に必要な職種ごとに人材を抱えており、アカウントディレクターが支援範囲を決定する際、必要な人材をアサインしてチームを組みます。
そのため、どのプロジェクトでもクオリティは比較的安定していると感じます。

原則、キックオフから6か月でのリリースとなります。最初に支援範囲を定義するため、「ついでにこれもお願い」といった依頼が難しいですが、支援してもらうと決定した範囲のなかでは満足は高いのではないかと思います。

(※)サービスグラントでは、プロジェクト完了後プロボノチームは解散となります。
サイト構築後の「アフターサービスがないのが不安」という場合は、制作はプロボノに依頼をしておいて、出来上がったサイトの保守は制作会社やクラウドワーカーに外注するという手もあります。

プロボノに依頼するときに気を付けたいことについては、次回の記事「NPOが「プロボノ」に気持ちよく働いてもらうための心得5つ」で詳しくお伝えしていこうと思います。

この記事を書いた人

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MARCHITECT

大阪出身。大学卒業後上京し、一部上場の教育系の出版社でコミュニティ運営、サイト企画、編集、Webプロモーションなどに約15年従事。
退職後、フリーランスとしてNPOや社会的企業を中心に、事業計画・運用改善・ディレクション・プロモーション・編集・ライティングなどでサポートしています。