Webサイトのクオリティ担保のコツー更新担当者とチェック担当者を別にできないときの工夫

大企業と違い、小規模な団体や中小企業においては、Webサイトの更新担当が1人か2人しかいないということも多く、様々な作業に追われてチェックが荒くなってしまうことがあります。限られた人員のなかで、ミスのないWebサイトにする工夫をご紹介します。

更新担当とチェック担当は別のほうがベター。いずれにしても「チェック観点」(チェック項目)を明文化しよう

更新担当者は作業に追われ、「これ以上作業を増やしたくない」という意識が働きがちなので
なるべく更新担当者とチェック担当者は別においたほうがよいでしょう。

とはいえ、よくありがちなのが、「代表」や「社長」「部長」など、普段現場にいない人など、発言に重みがある人がたまたまチェックをした場合に、
「このメインの画像さあ、もっとシュッとしたのにできないの?」とか
「いまやってるプロジェクトのバナーをさ、もっと目立つところにバーンと置いてよ」のように、「いま見てほしいのはそこじゃなくて!!!」と言いたくなるようなフィードバックをしてくるケースです。

急いでいるのに、その人に言われてしまったらやらなければならない…のようなことにならないように、いつの時点で何をチェックするかという、フェーズの区切りとチェック観点をあらかじめ決めておくとよいでしょう。

いつ何を見るかというチェック観点について社内・団体内でコンセンサスが取れていれば、「あわよくばこれもして」というような、ついで仕事の増加を封じることができますし、更新とチェックを同じ人で作業しなければならない時も、「チェック観点」が明文化されているとそれに一つ一つチェックを入れながら進められるので、自分を甘やかしたり、うっかり忘れる…ということがなくなります。

テストサーバーにアップする前につぶすべきチェック項目

サイトの更新担当者は、さまざまな担当から「これ更新しておいて!今日中に!」とか、「あ、ごめん、いま本番に上がってる原稿、間違ってたわ。すぐ修正しておいて!」などの「重要度が高く」「緊急性の高い」仕事を頼まれがちです。

そもそも、テストや本番サーバーにアップするような段階で、原稿の誤字脱字やファクトを修正するのは、更新担当者の人件費の無駄遣いです。

そのため、原稿として更新担当者に渡す前に最低限「Wordの校正機能を使う」ようにし、できれば「ファクトが正しいか、炎上しないか、(可能であれば第三者が)テキスト段階で確認する」という作業をするとよいでしょう。
たとえば下記のような観点で、サーバーにアップする前に原稿のチェックをしておくようにします。

  • (人権)特定の人間・団体・属性の人が読んだら不快になったり、傷つく表現・内容になっていないか
  • (著作権)著作権侵害をしていないか。画像やテキストはオリジナルのものか確認したか、または著作者の許可を得た旨が記載されているか
  • (肖像権)画像に人間の顔が写っている場合、本人の許諾は取れているか。

また、構成に関わる内容は、原稿FIXよりはるか前に確認しておきましょう。
たとえば、どこからリンクするか? を事前に洗い出して置き、どうリンクするかを決めておけば直前に「ここにバーンとバナーを貼っておいてよ」と急な依頼をされることを避けることができます。

そのうえで、テスト・本番サーバーにアップした後にチェックすべきことをまとめておきましょう。

テストサーバーで確認すべきチェック観点の例

テストサーバー(ない場合には本番サーバー)で確認すべきなのは、テスト(本番)サーバーでしか確認できないことに絞りましょう。
それ以外のことはそれ以前のフェーズでつぶすように努力することが大切です。

    • タイトルタグは正しいか
    • 画像は崩れなく、内容に合ったものが表示されているか
    • 画像のalt設定は正しいか
    • 文字のレイアウト崩れはないか
    • 新規ページの場合、そのページにリンクしているページは用意されているか
    • フォームの場合、フォームに入力した内容が正しく確認画面に出てくるか、リターンメールは正しく返信されるか
    • リンクミスはないか(※)

(※)第三者がリンクチェックをすると、正しいリンクなのかどうかが判別つかないことがあるので「詳しくはこちら」などのリンクテキストにせず、リンクテキストとリンク先のタイトルを一致させるルールにするとよいでしょう。

本番サーバーアップ後に確認するべきチェック観点の例

本番サーバーでは、その段階でしか確認できないことをチェックするようにしましょう。
たとえば

      • 意図していたシナリオで遷移できるか
      • ソーシャルボタンが機能するか
      • 検索エンジンに引っかかるか(リリース直後は引っかからないので注意)

といったことです。

何をどの段階でチェックすべきかは、代表・社長・部長なども含めて社内・団体内でアイデアを出しあって「チェック観点の一覧」を作るなどして、共通認識を持っておくのがオススメです。
一覧にないフィードバックが来たときは、随時一覧に追加していくと、将来的に「後戻り」が減って業務効率化になるうえ、他社・他団体にない財産になります。

また、チェック観点を一覧化しておくと、導入研修が必要な新入社員や単発のボランティアといった人材に対しても、一覧を渡して「これ見てチェックしておいて!」と指示すれば、そういう人材の隙間時間も有効活用できて業務が進む上に、人によってチェック観点が異なることによる品質のばらつきを減大幅にらすことができます。

この記事を書いた人

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MARCHITECT

大阪出身。大学卒業後上京し、一部上場の教育系の出版社でコミュニティ運営、サイト企画、編集、Webプロモーションなどに約15年従事。
退職後、フリーランスとしてNPOや社会的企業を中心に、事業計画・運用改善・ディレクション・プロモーション・編集・ライティングなどでサポートしています。