グローバル時代に突入しているとはいえ、まだまだ日本人のみをターゲットとしたビジネスも多く、「Webサイトを英語版、中国語版、その他の言語でも用意するべきか」「また、どう対応すべきか」という質問をとある大学からいただきました。
多言語対応するかどうかは、そのビジネスがどれほど海外の方をターゲットにしているかによります。
競合と考えている他社・他団体の動きや、業界全体の流れにもよるでしょう。
限定された地域の人を相手にした国内サービスでは日本語のサイトのみで充分ですが、例えば海外の助成金を狙っていくNPOなどでは最低限英語対応は必要でしょう。
大学の場合は国際化を受けて、優秀な留学生獲得は各大学の課題となっています。
文部科学省も「我が国においても、留学生の受入れに当たっては、各国の人材育成への貢献や我が国経済社会の発展、科学技術・学術の振興、世界で活躍できる人材の育成などに資するよう、優れた留学生を戦略的に獲得する必要がある。」と示しています。
そのため、英語と中国語版の準備は、多くの大学で対応されています。
しかし、アジアからの留学生を受け入れるにはそれらの2つの言語だけでは足りず、韓国語はもちろん、インドネシア語、タイ語、ベトナム語、マレーシア語などアジア諸国の言語への対応も必要になってきています。
留学生は、日本語または英語を学んでから留学をすることが多いため、日本語サイトまたは英語サイトがあれば、情報は充分に伝わることが多いです。しかし、その留学生のステークホルダー、つまり保護者や家族などが母国語のみという場合がありえるのです。
保護者の安心感を得て、本人の留学に同意するためには、大学の特徴や留学生フォローのしくみを、しっかりと伝える必要があります。そのためには日本の学生に向けた情報を、ただ翻訳するだけでなく、各国の事情に合わせて、留学生自身に向けた、最適な情報発信が必要です。
Webサイトを多言語対応するには
サイトの多言語化の方法は大きく3つあります。
- 人が翻訳してからサイトに反映する。
- 外部の翻訳サービスで翻訳をしてから、サイトに反映する。
- 日本語サイトを自動翻訳をして、多言語化する。
各大学の考えや予算によって、対応は変わります。
「Google翻訳」を導入して翻訳を行うケースもありますし、有料のサービスとなりますが「WOVN.io」や「Myサイト翻訳」などを導入して、複数の言語に対応したサイトを提供しているケースもあるでしょう。
しかし、これらの「機械翻訳」は、以前より精度は上がったとは言え、細かい言葉づかい・文法・訳などが正確でない場合がまだまだ多いのが現状です。
当たり前ですが、無料機械翻訳 < 有料機械翻訳 < 人間の翻訳 と、精度は人の手を介するほど上がります。
海外のユーザーも、翻訳ページがなければ、無料の翻訳ツールは自己責任において使うことができるため、「正確でないとわかっている翻訳ページ」に誘導する状態にしておくくらいなら、対応しないほうがマシなケースもあるかもしれません。
「国際化」を謳う大学であればあるほど、文章のトーン・マナー、文法などを大切にするべきです。
また、有料機械翻訳は、リーズナブルとはいえ月額利用料がかかりますので、よほど更新頻度が高いサイトでない限りは、公開期間によっては初期費用のみで済む人間の翻訳のほうが長い目で見るとコストは抑えられます。
可能であれば信頼できる翻訳者または、翻訳サービスを提供する企業に依頼をして、翻訳をし、さらには大学内の各国語が分かる教員や職員などで、内容を確認できる体制があることがベストといえるでしょう。
ただし、獲得できる売上見込みよりコストが上回る場合は、多言語化をあきらめたほうがよいでしょう。
どうしても安くあげたい場合は、教員や学生の手で多言語化対応をした別サイトにリンクするというのも手です。