Google社の無料のリスティング広告助成プログラム、Google Adwordsを利用しているNPOは、「キーワードプランナー」をご存知のことだと思います。
今回は、「キーワードプランナー」に頼りすぎることの危険性について解説します。
Google Adwordsの「キーワードプランナー」は、自分が想像しきれないターゲットのニーズまで推し量り提案してくれる素晴らしいツールです。これが登場したことで運用の成果を上げた人たちは少なくないでしょう。
ただ、信じて頼りきってしまいすぎないよう注意が必要です。
管理画面では上図のようなリコメンドが管理画面で表示されますが、リコメンドの中身をろくろく見ないで「追加」ボタンを押すことのないよう、注意が必要です。いくら無料とはいえ「損はしないでしょう」と思うのは早計です。損することもあります。
「キーワードプランナー」のリコメンドのままに出稿し、膨大な出稿を管理しきれなくなってしまった例
筆者がリスティングの運用をアドバイスしていたあるNPOでは、「キーワードプランナー」でリコメンドされるキーワードについて、表示回数が増えることのみを期待して中身をそれほど吟味せずどんどん追加していってしまっていたというケースがありました。
一つのグループに数百の広告グループ、そのなかにさらに何十~何百ものキーワードが出稿されており、どういうルールでその広告グループになっているのか、「たとえばこのキーワードはどこに入っていますか」といっても誰も即答できないものが多いという状態でした。
(数が問題なのではなく、内容が管理されていないのが問題です)
よく見ると、本来Webサイトに来訪してほしいユーザーではないキーワードまで出稿してしまっていました。
例)NPOは「子どもの貧困」の支援をしたい
軸のキーワード:「子どもの貧困」
リコメンド内容:「子どもができない」(不妊の課題を持つ人)や「保育園 東京」(保育園探しの保護者)
広い目で見れば関連することもない…かも…?という関連性の薄いキーワードもちらほらと混じっていることがあるので、リコメンドされるままにどんどん追加出稿するのではなく、あくまで「その広告で来てもらいたい相手が、検索しそうなキーワードか」ということをきちんとひとつひとつ目視確認して出稿するようにしましょう。
効果の低いキーワードを追加すると「損」する理由
効果の低いキーワードを追加したところで、無料のプログラムなんだから別に損はしないでしょう?と思うかもしれませんが、損なこともあります。
1.成果の低いキーワードを含む広告グループごと、ランクが下がる
成果の低いキーワードを含んだ広告グループは、ランクが下がることがあります。そうすると、悪くないキーワードまで引きずられて、検索結果が上位表示されなくなることがあります。
2.運用に手間がかかり、成果が上がらない
不適切な広告グループに不適切なキーワードが入っていることで、「このキーワードを追加したいけど、どういうルールでカテゴライズされてるんだっけ」と一見してわからなくなりがちです。
NPOの場合はさらに、ボランティアやインターンが運用することもあるので「誰が見てもわかりやすい状態」を心がけた構成にしておかないと、運用や確認に時間を取られてしまい肝心の成果が上がりづらい、ということにつながります。
現在上記のNPOでは、同じキャンペーン内で数百あった広告グループを、15以下の広告グループで厳選したキーワードで運用しています。
運用にかかる時間を減らすことで、他の施策(たとえばランディングページの改善など)に時間を充てることができます。
Webサイトもそうですが、リスティング広告を出稿する際も、「広告グループ」ごとにターゲットのペルソナを定めてキーワードをくっきりと分けるのが重要です。
リコメンド内容は一つ一つ、ターゲットを思い浮かべて愛情込めて選ぶようにしましょう。
可能であれば、リスティング運用の資料として、「リスティング広告で獲得したいユーザー」について簡単に説明した資料を用意しておくと、担当が変わっても、成果の出る運用が可能になります。