アクセス解析ツールといえば、最も利用されているツールの1つが「Google Analytics(GA)」ではないでしょうか。無償ツールなのに本格的な解析ができ、多くのウェブサイトで導入されています。
しかし、実はこのGAが2023年7月に大きな変更があります。現在展開しているバージョンである「Universal Analytics(UA)」版といわれるバージョンのサポート(データ収集)が終了し、その半年後に閲覧も終了となり、最新版の「Google Analytics 4(GA4)」というバージョンへの移行が求められています。
無料ツール故の不親切さ
さらにこのバージョンの移行は、自動では行われず、手作業で移行作業をしなければなりません。また、データの移行もないため、これまでに収集してきたデータは2023年以降は見ることができなくなってしまうという、なかなか厳しい処置です。無料ツールとはいえ、ビジネスで活用しているユーザーも多いことを考えると、なかなか影響が大きい動きと言えるでしょう。
2022年7月までの対処が必要な理由
サポートの終了はこの記事を執筆している2022年現在では「来年」の話ですが、実はそうも言っていられません。
先の通り、UAとGA4はデータの互換性がなく、移行もされません。GA4の「埋め込みタグ」を埋め込んで収集を開始して、初めてGA4でデータが見られる状態となります。
つまり、2023年の7月にUAのサポートが終了し、それからGA4に移行したのでは、データが空っぽの状態からスタートしてしまい、慌ててタグを埋め込んだとしても2023年と2022年のデータの比較はできなくなってしまうのです。
そこで、2022年7月までにデータの収集は開始しておかなければなりません。早速その手順を紹介しましょう。
プロパティを作成しよう
GA4は、UAと互換性がないため、新しくGA4の「プロパティ」を作成しなければなりません。プロパティというのは、GAでサイト単位で生成される管理区分のことで、これによってUAのプロパティとGA4のプロパティの2つが存在することになります。
なお、UAとGA4はプロパティのIDで見分けがつけられ、最初に「UA-」から始まるものがUA版、数字だけのものがGA4となります。
もしまだ、GA4のプロパティが作成できていない場合は、最初にUA版のプロパティを開いて、左下の「管理」ボタンをクリックします。
すると、GA4設定アシスタントが追加されているため、これをクリックしましょう。
「はじめに」ボタンをクリックして、指示に従えばプロパティができあがります。
できあがったプロパティを確認すると、「タグの設定」メニューがあるので、これをクリックしましょう。
「データストリーム」という欄で、コードを生成できます。「ストリームを追加」をクリックしたら、ウェブまたはiPhone/Androidアプリの中から対象を選びましょう。
アドレスなどを設定すると、タグが生成されます。「タグ設定手順」からタグを生成して、ウェブページに貼り付けましょう。
なお、WordPressを利用している場合は、この手順を行わなくても後述の方法でも設定ができます。
データの保持期限を14ヵ月に変更しよう
GA4では、標準のデータ保持期限が2ヵ月に設定されています。これでは収集をしても3ヵ月以上前のデータが消えてしまって意味がないため(このあたりも無料ツール故の、データ量の抑制策かと思います)、14ヵ月に変更しておきましょう。
左下の設定ボタンをクリックして、プロパティを選んだら「データ設定→データ保持」メニューを開きます。2ヵ月となっている「イベントデータの保持」を14ヵ月に変更しておきましょう。
手軽に確認するなら「Tag Assistant Legacy」拡張機能を使おう
制作会社の方で、クライアントさんのウェブサイトがGA4に対応しているかを確認したい場合、Google Chromeの拡張機能を使って確認することができます。「Tag Assistant Legacy」をインストールしましょう。
インストールすると、ツールバーに青いアイコンが表示されます。調査したいウェブサイトを表示して、このアイコンをクリックしましょう。
「Enable」ボタンをクリックして収集を許可すると、そのサイトに組み込まれているタグを確認することができます。
ここで、GA4が組み込まれている場合は「G-」から始まるIDが表示されます。「UA-」だけしか表示されていない場合は、GA4が組み込めていないことが分かります。
WordPressならSite Kitで簡単組み込み
さて、GA4を導入するには埋め込みタグを各ページに埋め込む必要がありますが、WordPressで運用しているウェブサイトなら、Google純正のプラグインを使えば簡単に組み込めます。Site Kitをインストールしましょう。
インストールすると、メニューバーに「Site Kit」が追加されます。
まずは、「SIGN IN WITH GOOGLE」からGoogleアカウントと紐付けましょう。
すると、Google AnalyticsやSearch Console、Tag Managerなど、Googleの各種サービスと連携するメニューが表示されるのでGoogle Analyticsを選んで、先の手順で作成したプロパティを選びます。
これで自動的にタグが挿入され、収集が開始されます。WordPressのウェブサイトなら、この方法が手軽で安全でしょう。
設定後は「リアルタイム」タブで確認しよう
GA4の収集タグを埋め込んだら、正しく収集がされているかを確認しましょう。GAにアクセスしたら、左側のメニューから「リアルタイム」をクリックします。
30分間の収集状況をリアルタイムにすることができるので、ここで訪問者がいるかを確認しましょう。もし、アクセスが少ない時間帯だった場合は自分のブラウザーで表示してみるとよいでしょう。この時、WordPressにログインをしている状態のブラウザーで確認すると、収集が除外されてしまうことがあるため、ログアウトをしてから確認するか、別のウェブブラウザーで確認しましょう。
GA4時代に備えよう
こうして、データを収集しておけば、2023年まではUAとGA4の両方で分析をすることができます。UAとGA4は、分析画面の見方もかなり変わってしまっていて、同じデータが欲しい場合も取得方法が異なったり、そもそも同じデータが取れないという事もあります。
そのため、当面はUAとGA4の両方で分析をして、欲しいデータをGA4でできるだけ取れるように準備しながら、2023年の本格移行に備えていくとよいでしょう。