Slack(スラック)は、チャットやビデオ会議機能などを中心とした「コミュニケーションツール」といった類いのツールの1つです。
古くは「Skype」というツールから、近年ではZoomやGoogle Meet、Microsoft Teams等、この分野は近年のリモートワークの浸透とともに非常に活況な分野と言えます。Slackはその中でも、非常に人気の高いツールで、個人の人から大企業まで導入されています。
この記事では、そんなSlackの基本的な使い方から便利な機能までご紹介していきましょう。
Slackのワークスペースを作ろう
Slackの料金
Slackは無料から利用できます。無料の場合は、メッセージのアーカイブが10,000件までになっていたり、ビデオ通話が2名までとなっているなど、いくつかの機能に制限がありますが実用には十分活用できます。業務で利用する場合には、月額850円のプロ版や、さらに高機能なビジネスプラス(1,600円/月)などが利用できますが、チームなどで導入する場合はアカウント数に応じて費用が発生するため、なかなかの高額になるケースもあります。
ワークスペースを作ろう
Slackを利用する時は、最初に「ワークスペース」を作成する必要があります。ここに、他のメンバーを招待してコミュニケーションをするというわけです。
Slackのウェブサイトにアクセスしたら、右上の「無料で試してみる」ボタンをクリックして、メールアドレスを入力しましょう。
メールアドレスが認証されたら、 ワークスペースの名前を決めます。会社名やチーム名などで作成しておきましょう。
そしたら、ワークスペースに招待したいメールアドレスをここで追加できます。後からも追加できるので、ここではひとまずスキップしてもよいでしょう。
続いて、図のような質問をされます。これは「チャンネル」というものを作成する機能なのですが、これについては後で調整できるので、ここでは「雑談」などと入力しておけばよいでしょう。
アプリケーションをインストールしよう
Slackはウェブブラウザーから利用する事もできますが、何度も利用する機会があるため、アプリケーションソフトをインストールしておくと、より便利です。macOS版、Windows版の他、iOS版やAndroid版もそれぞれ提供されています。
ソフトをインストールして起動すると、サインインボタンが表示されるのでこれをクリックして、ウェブブラウザーでログインしているアカウントと接続しましょう。
これでソフトウェアで利用することができます。ワークスペースに複数参加している場合も、1つのソフトですべてのワークスペースを管理できます。
なお、事情があってソフトウェアがインストールできない場合などは、引き続きウェブブラウザーから利用していきましょう。
これで、Slackを利用する準備ができました。
チャンネルを使いこなそう(スレッド、スタンプ)
Slackを起動すると、画面の左側に「チャンネル」と「ダイレクトメッセージ」というリストが表示されます。Slackで最もよく使われるのがこの「チャンネル」です。
チャンネルには、メンバーのうち全員または一部のメンバーを招待することができ、特定の話題についてチャンネル内でテキストチャットを通じてコミュニケーションを行うことができます。
どのようなチャンネルを作るのかは、チームの特性によって変わりますが、例えば次のような話題を作ることができるでしょう。
- プロジェクトごとのチャンネルを作成して、参加メンバーを招待する
- 部署・チームごとのチャンネルを作成して、部署・チーム内のコミュニケーションを行う
- 同じ趣味を持った仲間達を集めて、雑談を行う
- 一時的なある話題に対して、チャンネルを作成して関係するメンバー間でコミュニケーションをする
など、どのような単位のチャンネルを作っても構いません。利用方法によっては数十個のチャンネルが常に稼働しているといった使い方も存在します。
なお、Slackを起動した段階で標準で、次の3つのチャンネルが準備されています。
general
Slackに招待したメンバーが全員必ず参加するチャンネルです。全社向けのお知らせを発信するなど、全員に関連する話題をやり取りできます。
random
自由に参加・脱退ができるチャンネルで、自由な話題を話して良いというチャンネルです。Slackに不慣れなメンバーの練習場所としてや、自己紹介を投稿するなど、重要ではない話題に利用すると良いでしょう。
初期チャンネル
Slackのワークスペースを作成する時に、1つめのチャンネルを作成しました。そのチャンネルが掲載されます。チャンネル名を間違えてしまった場合は修正したり、削除することもできます。
削除したい場合は、チャンネルを右クリックして「チャンネル詳細を開く」をクリックしましょう。
「設定」タブで、チャンネルを削除することができます。また、不要になったがメッセージは保存しておきたいという場合は「アーカイブ」という操作も可能です。
チャットを投稿してみよう
それでは、チャンネルに実際にメッセージを入力してみましょう。ここでは、「random」チャンネルを使います。チャンネルをクリックすると、右側にメッセージの一覧が表示され、一番下に投稿欄が表示されます。
これをクリックして、メッセージを入力しましょう。
右下の「今すぐ送信する」ボタンをクリックすると、チャンネルの参加者に通知されます。なお、時間を指定しての予約投稿なども可能です。
なお、メッセージは通常のテキストだけでなく、一般的なワープロソフトと同様に太字にしたり、打ち消し線を引いたり、その他リンクや箇条書き、コード書式なども可能です。投稿欄の上のボタン群で調整しましょう。
送信キーを変更する
なお、メッセージはキーボード操作だけでも送信できます。標準では、macOSで「Command+Return」、Windowsは「Ctrl+Enter」で送信できます。それぞれ、Return(Enter)だけを押した場合は、チャット欄の中で改行され、複数行のメッセージを作成できます。
しかし、チャットツールの場合は1行ずつどんどんと送信して、活発にコミュニケーションを図りたいというケースもあります。その様な場合は、キーの割り当てに反対にできます。
「Slackメニュー(Windowsの場合は「編集」メニュー)→環境設定」メニューをクリックしましょう。
「詳細設定」の中に「メッセージ作成画面でEnterを押した時」という設定項目があるので、これを「メッセージを送信する」に変更しておきましょう。
これで、キーの割り当てを反対にできます。
下書きを利用しよう
メッセージを書いている途中でSlackを終了した場合、書きかけのメッセージは「下書き」として保存されます。左側に「下書き」が増え、ここで管理されるため、クリックして編集を続けましょう。下書きは何件でも保存できます。
メンションを飛ばそう
チャンネルにメッセージを送信すると、各メンバーのSlackに「未読」という形でカウントされていきます。しかし、未読のメッセージが増えすぎてしまうと、自分宛のメッセージだったのを見落としてしまうといった事もあるでしょう。
それを防ぐために、あらかじめ誰宛のメッセージなのかを明記する「メンション」を利用できます。メッセージ投稿欄の下にある「@」のボタンをクリックするか、メッセージ投稿欄に「@」と入力しましょう。
チャンネルに参加しているメンバーの一覧が表示されるので、該当するメンバーをクリックして選択するか、アカウント名を入力して直接指定します。途中まで入力すると、該当するメンバーに絞り込まれます。
こうしてメッセージを送信すると、メンションを飛ばされたメンバーのSlackには赤いバッヂで未読件数が表示されるようになります。その他、スマホの通知機能やPCへの通知、電子メールなど、さまざまな方法で通知を送信します(どのような方法が使われるかは、受信するメンバーの設定によります)。気づかれやすくなるため、早く気がついて欲しい場合はメンションを飛ばすとよいでしょう。
メッセージにリアクションをしよう
チャンネルの各メッセージを確認したら、そのメッセージに対して読んだことを知らせてあげると、送った人も読まれていることが分かって安心します。そんな時、Slackでは簡単にそれを知らせる「リアクション」という機能が利用できます。
スタンプ
各メッセージにマウスカーソルを重ねると、右側に各ボタンが表示されます。
アイコンをクリックすると、メッセージの下にそのスタンプが表示され、誰がそのスタンプを押したかが分かるようになります。
一応各アイコンにはその意味が定義されていますが、それほど深く考えて押す必要はありません。気分に合わせて押しておくと良いでしょう(ただし、チームでルールが決まっている場合にはそれに従います)。一人で複数のスタンプをクリックすることもできます。
アイコンは、一番右側のボタンをクリックすると、たくさんの種類の中から選ぶことができます。
ブックマーク
後でもう一度確認しておきたいメッセージや、なにかアクションを起こさないと行けないメッセージなどの場合は「ブックマーク」に保存しておくと便利でしょう。図の「ブックマークに追加する」ボタンをクリックします。
画面左側に「ブックマーク」が追加され、保存したメッセージが一覧できます。
必要なくなったら、もう一度「ブックマークから外す」ボタンをクリックすれば、外すことができます。
リマインド
ブックマークだけでは忘れてしまいそうな場合や、会議の時間など、時間が決まっている場合は、より思い出しやすくするために「リマインダー」を設定できます。
一番右のボタンをクリックして「後でリマインドする」メニューから、リマインドしたい時間を指定します。
「カスタム」をクリックすれば、細かく時間を指定できます。
すると、設定時間に自分宛にメンションされたような形でメッセージが再度届きます。
これによって、忘れるのを防止できます。
その他のリアクション
その他、次のようなリアクションが行えます。
メッセージの共有
チャンネルに投稿されたメッセージを、他の人に共有したり、他のチャンネルにも共有できます。
チャンネルへピン留め
「ブックマーク」の場合は、自分だけしかブックマークされませんが、チャンネルの参加者全員に重要なメッセージなどは「ピン留め」をしておくことがで来ます。一番右側のメニューから「チャンネルへピン留めする」を選びましょう。
チャンネルの上部に「ピン留めアイテム」というエリアが増え、ここからピン留めされたメッセージを確認できます。
スレッドを利用しよう
チャットツールのデメリットとして、複数のメンバーが複数の話題をやり取りしていると、各話題の関連性が分かりにくくなってしまうという点があります。そんな時、Slackでは「スレッド」を利用して、話題を整理することができます
この時、普通にメッセージを送信せずに「スレッドで返信する」ボタンをクリックしましょう。
画面の右側にメッセージが表示され、その下に専用の投稿エリアが表示されます。ここにメッセージを入力していきましょう。「スレッド」として、先頭の話題にぶら下がる形で議論を展開できるようになります。
ただし、スレッドで話題を展開してしまうと、各スレッドをクリックしなければメッセージを読むことができなくなるため、スレッドに参加しているメンバーには確認がしにくくなります。そこで、スレッドの中での話題であっても、チャンネルに参加しているメンバーには見ておいて欲しいといった場合は、投稿の時に「以下にも投稿する」というチェックを入れましょう。
すると、チャンネルにも投稿されるようになります。
ダイレクトメッセージと通知
チャンネルを利用すると、メンバーとチャットをする事ができますが、チャンネルを作りすぎてしまうと管理が大変になってしまいます。そこで、一時的に誰かと話したいといった場合はチャンネルを作らずに、メンバーに直接話しかける「ダイレクトメッセージ」を利用できます。
Slackの左側に、メンバーの一覧が表示されるのでここから直接指定することができます。
また、この一覧に表示しきれないほどのメンバー数がいる場合には、「その他→メンバーディレクトリとユーザーグループ」で一覧を確認できます。
ここからメンバーを指定すると、チャットを利用できるようになります。機能自体はチャンネルと同様です。また、「@」でメンションをしなくても相手に通知を飛ばすことができます。
複数メンバーのダイレクトメッセージ
また、ダイレクトメッセージは1人に対してだけでなく、複数人が参加したダイレクトメッセージを作ることもできます。
右上の「新規メッセージ」ボタンをクリックしましょう。
宛先欄が表示されるので、ここに参加させたいメンバーを入力します。
メッセージを1通でも送信すると、左側の「ダイレクトメッセージ」の一覧に、グループが追加され、後から何度でも送信できるようになります。
グループでのダイレクトメッセージは、チャンネルと同じように複数メンバーで話すことができるので便利ですが、後からメンバー構成を変えられなかったり、話題が整理できないなどのデメリットがあり、多用してしまうと後から参照がしにくくなってしまうため、話題や参加者が決まっている場合は、できればチャンネルを作成した方が良いでしょう。
通知を調整しよう
ダイレクトメッセージやメンションがつけられると、通知メッセージを受け取ることができます。しかし、打ち合わせ中など対応できないときに通知を一時的に止めておきたいときがあります。そんな時は、右上のプロフィール写真の部分をクリックして「通知を一時停止する」メニューから、止めておきたい時間を設定するとよいでしょう。
また、毎日夜間は通知を飛ばさないようにしたいなどの場合は、「通知スケジュールを設定する」をクリックして、スケジュールを設定できます。
ステータスを設定しよう
Slackを利用していると、自分のアイコンに緑色の円が表示されます。
これは「アクティブ」を示していて、離席しているユーザーの場合は白枠の円が表示されます。
ただ、実際にはSlackを利用していても他の人に知られたくない場合は、ステータスを変更することができます。
右上のプロフィール写真部分をクリックし、「ログイン状態を離席中に変更」をクリックすると、緑の円を白枠に変更し、離席中である事を示すことができます。
その他のカスタムステータス
「アクティブ」や「離席中」の他にも、Slackにはユニークなステータスがあります。プロフィール写真をクリックして「ステータスを更新する」ボタンをクリックしましょう。
「会議中」や「通勤途中」などのステータスに設定すると、それぞれに指定された時間の間、ステータスが指定した内容に変更されます。
また、上部のテキストフィールドに入力すると、オリジナルのステータスを作ることもできます。
ステータスを戻したい場合は「ステータスを削除」をクリックします。
通話をしよう
チャットだけではコミュニケーションに時間がかかってしまうなどの場合は、Slackを使って通話をする事もできます。グループ通話も可能ですが、こちらは有料版の機能となります。
通話をしたい場合は、各メンバーのダイレクトメッセージ画面で右上の「通話を発信する」ボタンをクリックします。
発信すると、相手の画面にビデオ通話画面が表示されます。
有料版では画面共有なども可能です。
ノート、リマインダ、スニペットで情報を活用しよう
Slackはコミュニケーションツールとしてだけでなく、情報管理などにも活用できます。それぞれ紹介しましょう。
共有ノートを編集できるポスト
チャットでは、メッセージが次々に流れていってしまいますが、例えば「やることリスト」などのように、常に残しておいて情報を更新しておきたいものなどがあります。
このような場合は「ポスト」機能を利用できます。左下の「+」ボタンをクリックして、「ポストを作成する」をクリックしましょう。
すると、専用のウィンドウが表示され、タイトルと内容を入力できるようになります。本文エリアには「マークダウン」という書式が利用できるため、リストなどを作成することもできます。
なお、マークダウンでチェックボックス付きのリストを作る場合は- [ ]
と入力してから内容を入力しましょう。
作成したポストは、右上の「共有」ボタンでチャンネルやダイレクトメッセージで共有できます。またその際に、他のメンバーの編集を許可することもできます。
作成したポストは、左側の「ファイルブラウザ」エリアから確認できます。もし項目が隠れている場合は「その他」から表示させることができます。
スニペット
スニペットもポストと似たようなもので、後から再利用しやすいパーツなどを登録できます。
右下の「+」ボタンをクリックしたら「すべてのショートカットをブラウズする」をクリックしましょう。「Slack」をクリックすると「テキストのスニペットを作成する」メニューがあるので、これをクリックしましょう。
図のようなウィンドウが表示され、タイトルや内容、内容のタイプをプログラミング言語の種類などを選ぶことができます。
こうして登録すると、メッセージとともにチャンネルなどに共有する事ができます。
スニペットもポストと同様に、ファイルブラウザから管理でき、ダウンロードなども可能です。
リマインダー
Slackの通知を利用して、自分が後から忘れないようにしたいことを通知してもらう事ができます。
左下の「+」ボタンをクリックして、「リマインダーを作成する」をクリックしましょう。
リマインダーを送信する日時や説明を入れて作成しましょう。
設定した時間になると「Slackbot」というボット機能に通知が表示されるので、これで忘れるのを防ぐことができます。
なお、もう一度リマインドを送って欲しい場合は「スヌーズ」機能を利用することもできます。
終わったら「完了にする」ボタンで完了しておきましょう。
キーボードショートカットを使いこなそう
Slackに限らず、ソフトウェアにはキーボードだけで操作できる「ショートカット」が割り当てられていて、覚えると非常にすばやく操作ができるようになります。
メニューには、各メニュー項目の右端にキーボードの組み合わせが記載されているので、これを押すことでメニュー内の各操作を発動させることができます。例えば、新規メッセージの作成は「Command+N(Ctrl+N)」となります。
ただしSlackの場合、メニューにはない項目でキーボードショートカットを使うことができるので、次の「Slackのキーボードショートカット」ページを確認するとよいでしょう。
また、Slack上で「Command+?(Ctrl+?)」で一覧を見ることもできます。
ここでは、代表的なショートカットを紹介しましょう。
- Command(Ctrl)+Shift+Y: ステータスの変更
- Command(Ctrl)+Shift+Enter: スニペットの作成
- Cmd(Ctrl)+Shift+A: 全未読の表示
チャットエリアのキーボード操作
チャットをしているときに、キーボードの上下カーソルキーを押すと、メッセージを行き来できます。
この時、現在選択されているメッセージには水色の枠が表示されますが、ここでさらにキーボードショートカットを使って、さまざまな操作が行えます。
- A: ブックマークに登録
- P: ピン留め
- M: リマインダーを設定
- R: リアクション
これらを活用して、効率よく作業すると良いでしょう。
スラッシュコマンドを使おう
キーボードショートカットに似たものとして、「スラッシュコマンド」というコマンドがあります。
これを使うと、チャット欄にメッセージの代わりに「/」を入力すると、コマンドが入れることができるようになります。
実際には、検索機能から選ぶことができるので、暗記をする必要はありませんが、一部でも覚えておくと絞り込みができるので、楽になります。
例えば、「dm」などと入力するとダイレクトメッセージを送信できます。
チャンネルでチャットをしている途中で、誰かにダイレクトメッセージを送りたくなったときなどに、キーボードから手を離すことなく、操作が行えます。
同じく「/remind」と入力すると、リマインダーを作成できます。
また、「/remind」に続けて「list」と入力すると、今設定しているリマインダーのリストが表示できます。
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