WordPressの自動アップデート後に確認したいこと

最近のWordPressは標準で「自動アップデート」が有効になっていて、最新バージョンがリリースされると、まもなく自分のWordPressも最新バージョンに更新されます。

しかしWordPressのバージョンアップには、リスクや気をつけたい点もあるため、ここでは自動バージョンアップ後に確認しておきたい内容について紹介しましょう。

WordPressのメジャーバージョンとマイナーバージョン

WordPressに限らず、各種ソフトウェアには「メジャーバージョン」と「マイナーバージョン」という考え方があります。

メジャーバージョン

機能が大幅に変化するバージョンアップ。画面の見た目が変わったり、それまで利用できていた機能が使えなくなったりします。WordPressの場合、小数第1位の数字が変化します。例えば記事執筆時点の最新メジャーバージョンは6.4。この後、6.5, 6.6…とバージョンが上がっていき、6.9まで上がったら、次は7.0となります。

一般的なソフトウェアは整数部分がメジャーバージョンを表すことも多く、WordPress自身も6までは整数部分がメジャーバージョンを表していたのですが、現在は小数第1位がメジャーバージョンとなっています。

マイナーバージョン

メジャーバージョンをリリース後に発見された、セキュリティバグやその他の不具合の調整、細かな調整などが行われます。小数第2位以降が変化し、記事執筆時点の最新バージョンは6.4.1です。

WordPressはメジャーバージョン、マイナーバージョン合わせて自動アップデートが標準となっています。

自動バージョンアップはするべき?

WordPressのノウハウ記事などを探していると、自動バージョンアップを止める方法なども紹介されています。しかしH2O spaceはこの方法はあまりおすすめしません。まず、マイナーバージョンアップはセキュリティパッチなども含まれていて、リリース後は迅速にアップデートをしなければならず、手作業でアップデートをするよりも安心できるため、これは必ず有効にしておくべきです。

では、メジャーバージョンアップはどうかですが、確かにメジャーバージョンアップには次で紹介するとおり、若干のリスクがあります。しかし、だからといってメジャーバージョンアップを手動で行おうとすると、タイミングが難しかったりでだんだん面倒になってしまって、バージョンアップをしなくなってしまう場合があります。

現在のWordPressは、メジャーバージョンを小数第1位にしたことからも分かるとおり、あまりメジャーやマイナーという考え方に固執しようとせず、一連の開発スケジュールの流れで区切ってリリースしている状態です。メジャーバージョンアップを怖がらずに常に最新版を利用することが、結果的に安全性などに気を遣うことができるようになるため、自動バージョンアップを受け入れると良いでしょう。

メジャーバージョンアップをすることのリスク

では、メジャーバージョンアップをする際のリスクと、その対処法にはどのようなものがあるでしょう。

プラグイン・テーマがバージョンアップに追いつかない

WordPressがバージョンアップした場合、基本的にはプラグインやテーマもそのバージョンで動作確認、開発がされないと正しく動作しない場合があります。そのため、本体だけがメジャーバージョンアップすることで、プラグインが正しく動作しなくなる恐れがあります。

この場合、通常はプラグインやテーマもリリースに合わせて、最新バージョンがリリースされるため、プラグインも合わせてアップデートすると良いでしょう。プラグインの自動アップデートも設定できるため、これも設定しておくと良いでしょう。

PHP、MySQLのバージョンがサポート外になってしまう

WordPressはメジャーバージョンアップのタイミングで、PHPやMySQLの推奨バージョンが改訂されます。この時、利用されているWebサーバーのPHPのバージョンが古い場合に、WordPressの動作要件から外れてしまう場合があります。

この場合、レンタルサーバーによってはPHPのバージョンを設定画面などから変えられる場合があるため、その場合は動作要件に沿ったPHPのバージョンに変更しましょう。もし、変更できないレンタルサーバーなどを使っている場合は、レンタルサーバーの業者によってはプラン変更などで対応ができる場合などもありますが、それらができない場合は他社のレンタルサーバーに引っ越しをすることも検討しましょう。

エラーメッセージが表示されたり、正しく表示されなくなる

テーマやプラグインで自作している場合や、Web制作会社に制作を依頼して制作したオリジナルテーマの場合、WordPressのバージョンが上がったり、PHPのバージョンが上がったりすると、それまでは発生していなかったエラーメッセージが表示されたり、正しく動作しなくなることがあります。この場合、エラーメッセージを元にプログラムを変更すれば動作することができます。

バージョンアップ後に確認しておきたいこと

このように、バージョンアップには多少のリスクは存在します。そこで、自動アップデート後に次のような点を確認しておきましょう。なお、自動アップデートがされた場合は、WordPressからメールで管理者宛にメールがあるため、このメールをチェックしておくと良いでしょう。

ダッシュボードをチェックする

まずは、WordPressにログインをしてダッシュボードの内容を確認しましょう。PHPのバージョンが動作要件から外れてしまった場合、警告画面が表示されます。この場合はPHPのバージョンをアップデートしましょう。

プラグインをアップデートする

まずは、WordPressにログインをして「ダッシュボード→更新」メニューをクリックします。WordPressが正しく最新版に更新されていることを確認し、合わせてプラグインやテーマに最新版がリリースされているかを確認しましょう。リリースされている場合は、すべてアップデートすると良いでしょう。

各画面が正しく表示されるかを確認する

続いて、各画面が正しく表示され、エラーメッセージなどが表示されていないかを確認します。正しく動作しない箇所などを見つけた場合は、テーマファイルなどを変更するか、Web制作会社に依頼しましょう。

すぐに修正できない場合はバックアップから復元

もし、アップデートによって画面が真っ白になってしまうとか、リンク先に正しく移動しないなどの致命的な現象が発生してしまった場合は、一度バックアップなどから戻しても良いでしょう。その後、開発サーバーやテストサーバーなどでバージョンアップテストを行って、プログラムを変更し、改めてバージョンアップをしましょう。

これを行うためには、定期的にバックアップを取得していることが必要です。自動でバックアップが取得されるレンタルサーバーなどを選んでおきましょう。

それでも自動アップデートする必要ある?

いかがでしょう? ここまでの内容をご覧いただくと、アップデートにはリスクが多く、自動アップデートはやはりしない方が良いのではないかと感じるかもしれません。しかし、WordPressの攻撃のほとんどは、正しくアップデートがされておらず、メンテナンスが正しく行われていないものに対して行われています

ここまでに紹介したようなリスクは、良くも悪くもいずれは慣れます。アップデートに失敗して画面が真っ白になるような現象が発生しても、直し方さえ分かっていれば、それほど怖いものではありません。それよりは、アップデートを怖がったり面倒がったりして、旧バージョンのまま使い続けることの方がよほどリスクが大きいと言えます。

WordPressのアップデートは、それほど怖い作業ではありませんので、常にアップデートをして最新の状態で使い続けていくと良いでしょう。

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