あまりなじみのない「ディレクション費用」。何それ削れないの?

制作会社からの見積もりに、「ディレクション費用:全体の20%」とあったり、デザイン費より高い金額が書かれていたりすることがあります。
「ディレクション」とはいったい何でしょう。それなりの金額を支払う価値はあるのでしょうか。

もしあなたの受け取った制作会社からの見積もり書に、「ディレクション費用」の項目がない場合は、別の項目の各見積もりの中にディレクション費用が含まれているはずなので、それがどのくらいの割合か聞いてみましょう。
もし「含まれていません」と回答されることはまずないと思います。(ないと言われたら「実質ない(してくれない)のですか!?」と聞いてください)

見積もりの「ディレクション」にそれなりの額が書かれていると、「何これ、何かあった時のバッファ?」と感じる方がいらっしゃるかもしれませんが、全体の2割前後の金額の場合はバッファではありません。

たとえ制作会社に「ディレクター」と名の付く専門役職の人間がいないとしても、誰かがディレクション担当者の役割を兼任しています。そして人知れず、プロジェクトの根幹ともいえる仕事をしています。

ディレクターはWebサイトの出来と、組織を左右する重要な役割

「マイナビクリエイター」に、「決定版!Webディレクターに必要な22のスキル」という記事があったので、引用してみます。

01. リーダーシップ
02. マネジメントスキル
03. コミュニケーションスキル
04. スケジュール・予算管理能力
05. 課題抽出スキル
06. アクセス解析の知識・スキル
07. 統計学の知識・分析スキル
08. Webマーケティングの知識・運用スキル
09. 一般的な広告・PRの知識
10. 企画力
11. ドキュメント作成スキル
12. プレゼンテーションスキル
13. インターネットビジネスの知識
14. 情報収集・活用スキル
15. Webデザインの知識・スキル
16. 編集・ライティングスキル
17. フロントエンド言語の知識
18. バックエンド言語の知識
19. デバイスの知識
20. 権利関連の知識
21. 経営関連の知識
22. 英語力・英会話スキル

ここに挙げた22のスキルをすべて備えたディレクターはそうそうお目にかかれませんが、「複数のスキルを持つ人」だけでもそうそう出会わないはずです。
持って生まれた「才能」ではなく「経験」で培う能力なので、ある程度の社会人歴があり、かつ多数の案件をこなしてきた人でないと無理ですし、そういう人はたいてい他の案件を持っていて多忙なものです。
そんな希少人材が稼働するわけなので、当然費用は発生します。また、希少だからという理由だけでなく、スキルのあるディレクターにはある程度の金額を支払う価値はあると断言できます。

たとえばディレクターにリーダーシップがなかったら…?
クライアントに時間や切迫感がないケース、クライアント内で意見の相違があり膠着するケースなどと、もれなくプロジェクトが停滞・終了してしまいます。

ディレクターにマネジメントスキルがなかったら…?
無理なスケジュールを強行することでクライアントまたは制作会社の人間を潰し、プロジェクトを停滞させてしまいます。

権利関係の知識がなかったら…?
権利関係の穴にうっかり誰も気づかないまま、Webサイトをリリースしてしまうことで、後に訴訟問題に発展しかねません。

このように、それぞれのスキルがないことで重篤な危機に陥ることが多々あります。

それなりの金額を支払う価値のあるディレクターかどうかを判別するために

上記のように、重要な役割を担っている「ディレクション」ですから、それなりの金額を支払う価値があると判断しないわけにはいきません。しかし問題は「金額に見合うディレクションをしてくれるかどうか」でしょう。

デザインについては、過去の制作実績を見ればなんとなくイメージがつきますが、ディレクターが適任かどうかは、過去の制作事例を見ただけではわかりません。

見積もりが出てきた時点でディレクターの金額が高いなと思った場合や、初めてお付き合いする制作会社などは、ディレクションを担当する人材について以下のようなことを質問してもよいでしょう。
これはディレクターだけでなく、情報設計などの役割でも同様の質問をしてもよいと思います。

    • 担当者の経験年数は何年ですか
    • ここ1年の、担当したWebサイトの開発規模(金額・プロジェクトにかかわった人数)を教えてください
    • 差支えなければ担当したWebサイトを教えてください
    • 差支えなければ担当したWebサイトの、before/afterの効果を教えてください
    • 担当者は「決定版!Webディレクターに必要な22のスキル」でいうとどれが得意な人ですか
    • 担当者は専任ですか。同時に何件別案件を抱えていますか。

なお、上記のようにディレクターのスペックを相手方に確認してよいのは、それなりの金額をお支払いするつもりの場合に限ります。
安い金額でハイスペックなディレクターはアサインできません…。

Webサイト制作にはその他の役割のプランナーやデザイナー、コーダー、各種エンジニアの役割も欠かせません。オーケストラにたとえると、それぞれが重要な楽器の演奏者とすると、ディレクターはまさに指揮者にあたります。素晴らしい演奏にするために、指揮者の働きに注目・尊重してみていただけるとうれしいです。

この記事を書いた人

Sumiyo MAKINO

大学卒業後、ベネッセコーポレーションに入社、コミュニティ運営、サイト企画、編集、Webプロモーションなどに約15年従事。
退職後、フリーランスとして関西のソーシャル系の企業・団体を中心に、事業計画・運用改善・ディレクション・プロモーション・編集・ライティングなどでサポート。NPO広報友の会。
2017年よりビッグイシュー・オンライン共同編集長。​
2019年、準認定ファンドレイザー®試験合格。